三越の再興第九十三回院展松山展第一会場

仕事からの帰途、三越へ寄り、今週の金曜日まで開催中の「再興第九十三回院展」松山展を観照。七階の第一会場を見終えて売店で絵葉書を買ったところで閉店時間が迫り時間切れになってしまい、六階の第二会場には入れなかった。木曜日までに行かなければならない。
ともあれ、第一会場で見た中で、私的に最も魅了されたのは、清水由朗(日本美術院同人)筆「望楼」。四曲屏風一隻(額装)に西洋の中世の城館を見上げるような角度から描いたもの。闇の中に浮かび上がる石造の城塞の重厚な大きさに圧倒される。城壁に囲まれた中庭にはサーカス小屋の屋根みたいな模様のテントが張られ、そこから人が出てこようとしている。その人が何をしているのか、どのような光景であるのか、俄かには判らなかったが、堅牢で巨大で永続的な城郭と、柔らかくて小さくて派手な仮住まいのテントとの対比として見るだけでも面白い。松尾敏男(同人)の「彩雨」は流石に気品があり、梅原幸雄(同人)の「化生」も、いかにも仏教的な情趣があり、観者を惹き付ける。那波多目功一(同人)の「北城の春」は金屏風をそのまま活かしているのが古風で大胆に見える。高岡秀造をはじめ愛媛県出身者の作も力作揃いだった。