仮面ライダーオーズ第二十八話=仮面ライダー第一〇〇〇回

一瞬も家の外に出ることのなかった一日。大体、休日には家から外へ出ないことが多いが、それでも従来は、夕食等のために最低でも一回位は外へ出る機会があったものだった。その意味で今日は稀有な休日。
ところで。
東映仮面ライダーオーズ/OOO」。
第二十八話「1000と仮面ライダーと誕生日」。
今から遡ること四十年前、昭和四十六年(一九七一)四月三日にテレヴィ放映が始まった「仮面ライダー」は先週の「仮面ライダーオーズ」第二十七話で通算九九九回、今週の第二十八話で通算一〇〇〇回を数えた。
この番組の放映一〇〇〇回を祝賀し、今後ますますの発展を祈念して鴻上財団会長の鴻上光生(宇梶剛士)は記念映画「仮面ライダーオーズ対ショッカー」の制作を発案し、伊達明(岩永洋昭)を監督に起用した。
しかるにその制作現場では、後藤慎太郎(君嶋麻耶)が何を演じても駄目で、失敗ばかりで、女優として有能な多国籍料理店クスクシエ店長の白石知世子(甲斐まり恵)からは励まされてはいたものの、ドクター真木清人神尾佑)&人形「キヨちゃん」からは「終わりです」と宣告され、天敵アンク(三浦涼介)からも「おまえはそこらで石にでもなってろ」と罵倒され、彼自身も己の実力のなさが周囲に迷惑をかけていることを実感して落ち込んでいた。同じように泉比奈(高田里穂)も、余りにも怪力の持ち主である所為で普通の演技をこなすこともできず落ち込んでいた。
だが、この映画の現場、云わば劇中劇の現場に(劇中の)本物のヤミーと本物のショッカーが紛れ込んでいたことから、本物の仮面ライダーの戦闘が始まり、仮面ライダーバース=伊達明が苦戦を強いられていたとき。両名はそれぞれの本領を発揮して、弱さを強さに変えて活躍した。
後藤慎太郎は「俺は石だ。頑固で、無口で、不器用で。ただ石には石のプライドがある。俺は石だ。石頭だ!」と云いながらヤミーに頭突を食らわして撃退し、伊達明を助けた。同じように泉比奈も、近くにあった巨大な岩(なぜ公園にあんな巨大な岩があるのか?と驚かざるを得ない程に巨大な岩)を持ち上げてヤミーに打撃を与え、苦戦していた仮面ライダーオーズ=火野映司(渡部秀)を助けた。
最近、この物語の長寿を祝賀する「仮面ライダーディケイド」等では昭和四十六年以降の歴代「仮面ライダー」全員集合が既に実現したが、今朝のこの番組ではショッカーをはじめとする歴代の戦闘員が揃って、仮面ライダーオーズ&バースに立ち向かった。
とはいえ所詮それらはヤミー。正体はメダル。本物のショッカーではない。そのことを知ったショッカー戦闘員の千堂院(村杉蝉之介)は失望し、意を決した。仮面ライダーはショッカーの敵であって、メダルなんかに倒させてはならない!と信じる千堂院は、宿敵であるはずの仮面ライダーオーズを助けるべくヤミーを打った。
こうしてショッカー戦闘員と仮面ライダーオーズ=火野映司との間の奇妙な友情を描いて放映一〇〇〇回記念映画「仮面ライダーオーズ対ショッカー」は結ばれた。鴻上光生は伊達明監督のこの映画の出来栄えに感服してはいたが、これだけで「終わり」にする意はなかった。次には「仮面ライダー」生誕四十周年を祝賀する必要があるからだった。なるほど鴻上光生が「誕生」「バースデイ」に執着することには重要な意味があったのだ。
後藤慎太郎の兵士の格好が素晴らしく美しかった。今までも、どんな格好をしても似合っていたが、余りにも優美な顔立ちには似合わないように思われるような格好をしたことで逆に顔立ちの美しさが際立っていた。