仮面ライダーフォーゼ第三十話

仮面ライダー生誕40周年記念作品「仮面ライダーフォーゼ」。
第三十話「先・輩・無・用」。
フォーゼ=如月弦太朗(福士蒼汰)の戦闘を天ノ川学園高等学校教諭の大杉忠太(田中卓志)が助けた。助ける手段を持ち合わせていたのは単なる偶然の結果でしかないし、偶然の結果を生じた原因を考えるなら決して褒められる話でもないが、それでも、彼のこの行為が生徒を救いたいという教師の純粋な思いに発していたことは間違いない。
結局、大杉忠太は自ら仮面ライダー部の「顧問」に就任し、これを学校の部活動として公認する意を宣言した。
もちろん学校公認の部活動にはなり得ないだろう。なぜなら仮面ライダー部の存在は他のどの教師にも知られてはならないからだ。大杉忠太自身がそのことを最も弁えているのは心強い。なにしろ彼がフォーゼの活動を支援しなければならないと決意した一番の原因は、草尾ハル(荒木次元)を化物にした犯人が天ノ川学園高等学校の教員の一人であることを黒木蘭(ほのかりん)から聴いて、その罪の深さに激怒せざるを得なかった点にあった。学園を悩ませ続けてきた続出の怪物の正体が実は何れも学園の普通の生徒であり、しかるに普通の生徒を怪物に変えていたのが教師だったらしいという事実は、彼には許し難かった。だから彼は(少なくとも当面は)仮面ライダー部の存在を他のどの教師にも教えることはないだろう。
そして恐らく仮面ライダー部の活動拠点「ラビットハッチ」の在り処を敵に知られないでいることはその活動の安全性を確保する上で重要であるに相違ない。
もっとも、そうした安全保障の問題を大杉忠太は認識できたはずだが、如月弦太朗をはじめ仮面ライダー部一同は認識できているのだろうか。なにしろ彼等は学園の理事長と校長こそが敵であることを未だ認識できていないからだ。
少々奇妙なことに、彼等は仮面ライダー部の存在を教師と学校当局には知られてはならないと弁えているらしい反面、一般の生徒の見ている前でフォーゼに変身したり仮面ライダー部として活動したりすることを、特に避けているわけでもないのだ。隠さなければならないのか、別に隠さなくともよいのか。設定が安定していない。
隠さなければならないと理解して行動しているのは朔田流星(吉沢亮)。昴星高等学校の校庭でメテオに変身した彼から攻撃を受けた天ノ川学園高等学校長の天秤座ゾディアーツ=速水公平(天野浩成)は、途中から野座間友子(志保)の姿に化けた。メテオの正体が朔田流星であることを校長は知らないはずだが、野座間友子とメテオとの間に生じつつある特別な関係を、校長は察知しているのだろうか。