コマさん家電量販店/コマさん大家族/ロボニャンF型の高貴な精神

ニコニコ動画の「テレビ東京あにてれちゃんねる」(http://ch.nicovideo.jp/ch7)内の「妖怪ウォッチ」チャンネル(http://ch.nicovideo.jp/youkai-watch)で最新の第七十四話の配信あり。
今回、ケータとウィスパーとジバニャンが登場したのは、一話を三話で構成する中の最後の一話だけ。他の二つはコマさん&コマじろう兄弟の話で、二つの話は一つに繋がっていた。しかもケータとウィスパーとジバニャンが出てきた最後の話では、主人公はロボニャンとロボニャンF型だった。
一つ目の話は「コマさんが行く」の第一話。
コマさん&コマじろうの母君から、二人に宛て手紙が届いた。二人を訪ねて都会へ出てきて、さらに家電量販店へ行ってみたい由。コマじろうはそこがどのような場所であるのかを知っている様子だったが、コマさんは全く知らなかったので、母君のために案内役を務め得るようになっておくべく、予め家電量販店を視察しておくことを決意し、一人で果敢にも出かけた。
行先は「ビックリカメラ」。そこで待ち構えていた店員の名は「山田」。
コマさんを「良い鴨」と見込んだ店員ヤマダは、コマさんに高級品をどんどん買わせるべく攻撃を仕掛けたが、店員ヤマダの勧める「4Kテレビ」をコマさんが「もんげーテレビ」と聞き間違えて、店員ヤマダの調子を狂わせてしまった時点で、コマさんの勝利は既に決したに等しい。しかも、コマさんが掃除機ロボットに興味を抱いたところ、相手の掃除機ロボットの側もコマさんに懐いてしまい、対処に困った店員ヤマダは、その掃除機ロボットをコマさんに引き取らせる代わりに、コマさんにも引き取ってもらうしかなかった。
クロがきた!事件。
掃除機ロボットを家に連れ帰ったコマさんは、それを弟コマじろうに紹介し、「クロ」と名付けて新しい家族とした。翌日、クロに乗って散歩に出かけたコマさんは、川辺の公園で昼寝していた間にクロを見失い、街中を探し歩いても見付けることを得ず、悲しみながら帰宅したが、コマじろうにそのことを話して聞かせた直後、クロは大勢の仲間を引き連れて無事帰宅した。周囲の道路を長距離にわたって埋め尽くす程の、膨大な掃除機ロボットの大群衆。コマさんは皆を家族として受け入れたが、流石にコマじろうは弱ったような顔をしていた。そもそもコマじろうは、コマさんがクロの行方不明を明かして悲しんでいたときにも、それは実は電池切れによるものではないのかと冷静にも推測していた。コマじろうにおける賢く冷静な一面と、兄をどこまでも信頼し敬愛し続ける一面との絶妙な均衡が、この話の見所の一つであると云えるかもしれない。
ロボニャンF型あらわる!事件。
この話の凄いところは、巨大な隕石が地球へ衝突しようとしていて、もはや地球の損壊、人類の滅亡は避けがたい!という絶体絶命の事態と、ケータの日常生活とが一つに結び付いてしまう点にある。
外国の、恐らくはUSAのジョンソン宇宙基地かどこかと思しい防衛機関で、大勢の職員が巨大な隕石の危機に絶望しようとしていたとき、日本のどこかにある地方都市「さくらニュータウン」の川辺では、ケータが宿敵ハナホ人と三度目の対決をしていた。まさか、ハナホ人がこんなにもケータに苦戦を強い続けようとは誰が予想し得ていたろうか。もはや運命のライヴァルと云うも過言ではない。しかも今回、ハナホ人はケータばかりではなくウィスパーやジバニャンをも一挙まとめて攻撃した。
そこでケータがロボニャンを召喚したところ、さらにそこへロボニャンF型が現れ、ロボニャンの戦術を嘲笑した。ジバニャンの未来の姿がロボニャンで、ロボニャンの遥か未来の姿がロボニャンF型。ゆえに、かつてロボニャンが初めて登場したときジバニャンを挑発し、機能の比較競争を挑んだように、今、ロボニャンF型もロボニャンを挑発し、機能の比較競争を挑んできた。面白いのは、ジバニャンを圧倒するロボニャンの強さが周囲の人々にとっては迷惑な力だったように、ロボニャンを圧倒するロボニャンF型の強さは世界の人々にとって迷惑な力だったこと。
だが、ロボニャンF型が今回ここへ現れた目的は、ロボニャンをからかうことではなかった。ロボニャンも察知し得たように、今、巨大な隕石が地球へ衝突しようとしていた。それを止めるため、ロボニャンF型は遥か未来から飛んできた。地球を守り、人類を守るため、自己を犠牲にする覚悟で来たのだ。
地縛から「自爆」へ。かの英雄フユニャンはジバニャンを「人間のために妖怪になり、人間のために生き、人間に愛されている妖怪」と称えたが、そのようなアカマル=ジバニャンの愛と覚悟は、遂に、遥か未来の世界でロボニャンF型へ進化した暁に、その甚大な能力を土産に、遥かな過去へ舞い戻り、巨大な隕石へ体当たりをして地球全体をも救出する境地にまで達していた。何という高貴な志だろうか。
ロボニャンF型の自己犠牲によって地球は救われた。そしてロボニャンF型から志を託されたロボニャンは、自力でロボニャンF型へ姿を変え、志を継ぐことを決意した。
楽しく笑える馬鹿馬鹿しさと、高貴な精神への感動が一つに結び付いて渾然一体化した凄さ。「妖怪軍師ウィスベエ」や「妖怪ウォッチ誕生の秘密だニャン!」に通じる深さがあった。