仮面ライダードライブ第三十八話

平成仮面ライダー第十六作「仮面ライダードライブ」。
第三十八話「悪魔はなぜ進化を求め続けるのか」。
ドライブ=泊進ノ介(竹内涼真)は、今や名実ともに敵側の王者となったロイミュード002=ハート(蕨野友也)と解り合った。
そして彼は、今まで数多くの人間のみならずロイミュードをも犠牲にしてきたロイミュード009=メディック(馬場ふみか)を、マッハ=詩島剛(稲葉友)の攻撃から守った。強敵を葬り去る千載一遇の好機を彼が敢えて潰したのは、メディックの悪事の全てがハートへの愛のゆえに企てられていたことを知ったから。換言すれば、メディックやハートを、チェイサー=チェイス上遠野太洸)と同じく人間に通じ得る存在ではないかと認識したからだった。
この行為に、改めてハートは感服し、感謝した。そして予て最高の好敵手であるかもしれないと見ていた泊進ノ介を、間違いなく最高の好敵手であると見定めたハートは、今、真に戦う価値ある相手を見極めた歓喜から、ついに超進化を果たした。
泊進ノ介とハートの関係は、戦闘を描くドラマにおける味方と敵それぞれの両雄の姿としては実に好ましい。しかし両雄の好い関係を最高度に高めたのが、メディックに対するマッハの攻撃への、泊進ノ介の体当たりの阻止であることを考えると、これが本当に好ましいのかどうかを心配せずにはいない。なぜなら泊進ノ介のこの行為は、メディックを延命させたばかりか、ハートを強化させただけだからだ。泊進ノ介の勝利の日は遠のいたと云わざるを得ない。普通に考えるなら最悪の事態でしかない。
これが最悪の事態ではなく最良の転機であり得るためには、真の敵がハートではないという展開が求められよう。ハートやメディックの他に、真の敵がいるのでなければならない。それは多分、もはや身体さえも失った有様のロイミュード003=ブレン(松島庄汰)ではないだろう。
蛮野天十郎(声:森田成一)の頭脳を保全する蛮野パッドの言を信じるなら、「ベルトさん」=クリム・スタインベルト(声:クリス・ペプラー)こそが真の敵であり得る。あたかもそのような真相を予告するかのように、今日の話の最後には、生前のクリム・スタインベルトに酷似した謎の人物(クリス・ペプラー)が姿を現した。この人物が今後の話の鍵を握るのか、それとも「仮面ライダーW」における謎の組織「財団X」のように、思わせ振りに出て来ただけで、何の謎も解明されないまま終わるのかは定かではない。
それにしても、超進化体ハートの凄まじい攻撃からドライブとマッハとチェイサーを防御したのは、チェイスの推測した通り、蛮野パッドだった。先週の話では光線を放っていたが、今週の話では空を飛んでいた。攻撃力も防御力もあるばかりか自由に飛び回り動き回り得る蛮野パッド。やはり今週も云わなければならない。蛮野パッドは万能パッドであると。
映画の予告編あり。
泊進ノ介の未来の子息、泊エイジを演じる真剣佑を、思い切り華奢にすれば佐藤勝利に似ている気がする。しかし華奢ということからは全く無縁な肉体派であるのが真剣佑。