新海誠監督作品(初期作品)=彼女と彼女の猫/ほしのこえ

今日も本当は、衣山へ行って「君の名は。」の新パンフレットを買って映画も観たい願望はあったが、少なくとも明日までは我慢せざるを得ないと思い、真直ぐ帰宅。
そして夜、新海誠の初期の自主制作アニメ作品二つを鑑賞。一九九九年に制作され、翌年のCGアニメコンテストでグランプリを受賞した「彼女と彼女の猫」5分ver.と、初の劇場公開作品として、二〇〇二年に公開された「ほしのこえ」声優版。両方とも、ブルーレイディスク秒速5センチメートル」インターナショナル版(5 Centimeters per Second:Global Edition)に特典映像として収録されている。
何れも大作「君の名は。」に繋がってゆく要素や表現に満ちていて、まさしく新海誠の原点であると思われた。もっと早く観ておけば良かったと思う反面、「ほしのこえ」の憂鬱な救いのなさは凄まじく、もし「君の名は。」よりも前にこれを観ていたなら、果たして同じように魅了されていたかどうか甚だ自信がない。むしろ安直に拒否してしまっていたのではないのかとさえ恐れる。その意味で、「ほしのこえ」を観て直ぐに才能を感じ取った人々の眼の確かさには驚嘆、讃嘆せざるを得ない。
そうした驚くべき人々の一人が、流石と云うべきか、アニメ界の巨匠、安彦良和。『新海誠ウォーカー』所載の「安彦良和 新海誠を語る」において巨匠が明かしている「ほしのこえ」感想が面白い。「ものすごく戸惑ったんです」「僕の中の常識に当てはまらなかったんです」「一人で作れるわけないでしょ」「だけど作品を見て、とんでもない人なのかもしれないと思いました。というくらいに画面が素晴らしいんですよ。ただ者じゃない感じがありました」(80頁)。
短編映画「ほしのこえ」には登場人物が二人しかいない中の一人、ノボルを演じているのが鈴木千尋。「ハイ☆スピード!」で鴫野貴澄を演じていて、甘美でありながら爽やかだったが、なるほど、早くからこんな凄い仕事をやっていたのか。