大河ドラマ風林火山第二話

NHK大河ドラマ風林火山」。原作:井上靖。脚本:大森寿美男。音楽:千住明。主演:内野聖陽。演出:清水一彦。第二回「さらば故郷」。
山本勘助内野聖陽)は「不器用な男」だ。戦闘においては鋭利な洞察力、俊敏な判断力を発揮できる彼が、身近な人々の心理や利害については全く見えていなかったからだ。久々に会った実兄、山本貞久(光石研)の優しさに油断してしまったという面もあるだろうが、福島越前守テリー伊藤)に仕える者にとって主君の秘密を知る者は敵でしかあり得ないことを、どうして勘助は読めなかったのか。結局のところ彼は、少なくとも今の時点では、学と技芸にのみ秀でて世間には疎い若者なのだ。叔父の庵原忠胤(石橋蓮司)の慎重な態度に徒に苛立ってしまっていたところにも、彼の若さが表れていた。そんな彼が今後どのように成長してゆくのか。手に汗握りながら見守ってゆこう。
武田信虎仲代達矢)は何を考えているのかを容易には読ませないところが不気味で恐ろしい。武田勝千代(池松壮亮)が幼い弟の次郎(園部豪太)相手にわざと負けてみたのも、父の狙いがどこにあるのか見抜けなかったからだろう。それでは、勝つよりは負ける方が正しいと彼が判断し得たのは何故か。多分、勝負するまでもない勝負を敢えてさせるのは意外の結果を期待するからこそである…と読み抜いたからだろう。その洞察は正しかったが、こうして生じた意外の勝敗を前にした父の反応は、信じ難い程に素直で、ゆえに冷酷だった。勝千代が敗れたのを見て、彼の想いを想像することもなく、ただ明るく喜んだのだ。
武田勝千代は元服武田晴信と名乗った。これに伴い、役者も池松壮亮から歌舞伎顔の市川亀治郎へ交代。水色の直垂を着た勝千代役の池松壮亮は凛々しくも華やかな美少年で、のちに天下に名を轟かす英雄になる少年として充分に納得できる役者だった。彼の出番が終わったのは誠に残念。
ところで、「風林火山の旅」と云うサイトあり、大河ドラマ風林火山」に関して解説してある(http://homepage2.nifty.com/takedafan/)。丁寧で解り易い。しかも吾が日記における感想文(http://d.hatena.ne.jp/poietes/20070107/p1)をも紹介してくださっていて、誠に恐縮なこと。

日曜劇場=華麗なる一族第一話

新番組。
TBS開局55周年記念特別企画。日曜劇場「華麗なる一族」。第一話。
原作:山崎豊子華麗なる一族」(新潮文庫刊)。脚本:橋本裕志。音楽:服部隆之。企画:瀬戸口克陽植田博樹。プロデュース:福澤克雄石丸彰彦。制作:TBSテレビ。演出:福澤克雄
万俵家の邸宅の庭園にある大きな池の深みに、万俵家の先代の代より泳いでいるという巨大な金色の鯉魚。その名は「将軍」。先代が愛育し、手を叩けば波の上に龍の如き姿を現したと云うが、先代が逝去して以後、後継の万俵大介(北大路欣也)が手を叩いても姿を現すことはなくなっていた。しかし今、大介が、己の子でありながら己の子ではなく実は先代の子ではないかと疑う万俵鉄平(木村拓哉)に試しに手を叩かせてみれば、何と!万俵家伝説の鯉魚「将軍」が湖面に姿を現したのだ。…というのが今宵の第一話の最重要の場面だったが、「将軍」は鯉と云うよりはアザラシのようだった。
登場人物(出演者):万俵鉄平34歳(木村拓哉)高須相子39歳(鈴木京香)万俵早苗30歳(長谷川京子)万俵銀平31歳(山本耕史)万俵二子22歳(相武紗季)/美馬一子29歳(吹石一恵)美馬中44歳(仲村トオル)。鶴田芙佐子32歳(稲森いずみ)/鶴田志乃59歳(多岐川裕美)。一之瀬四々彦26歳(成宮寛貴)一之瀬工場長58歳(平泉成)/銭高常務52歳(西村雅彦)。綿貫千太郎58歳(笑福亭鶴瓶)和島所長51歳(矢島健一)。大川一郎60歳(西田敏行)/大亀専務60歳(武田鉄矢)/永田大蔵大臣63歳(津川雅彦)。三雲祥一50歳(柳葉敏郎)/万俵寧子54歳(原田美枝子)/万俵大介60歳(北大路欣也)。ナレイション(倍賞千恵子)。