月九ヴォイス第三話

フジテレビ系。月九ドラマ「ヴォイス 命なき者の声」。第三話。
脚本:金子茂樹。音楽:吉川慶&Audio Highs。主題歌:GReeeeN「刹那」。プロデューサー:瀧山麻土香&東康之。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:成田岳
片平なぎさ平泉成勝村政信の豪華出演陣を迎えた今宵の第三話。普段、他のドラマでは事件を解決する側を演じる片平が、ここでは解明されるべき出来事の当事者、云わば被害者の側を演じている。平泉成の演じる工場の作業員は、久保秋雪子(片平なぎさ)が生前には工場の人気者だったことを語りつつも、その仕事に対する厳しさが当時の若い者たちの一部には反感をも買っていたことも述べることで殺人の可能性を示唆し、徒に話を混乱させる役割をも担った。
これら豪華出演陣を迎えることで何となく良い話だったかのような印象を生んではいるが、よく考えると酷い真相ではあった。なにしろ雪子は「諦めたら人生おしまい」という自身の信念に従い、夜遅くまで几帳面に働いたことの結果として亡くなってしまったと云えなくもないからだ。少なくとも諦めておけば、生命を落とすことにはならなかったろう。頑張って完璧に仕事をこなしたとしても報われることもなく、むしろ「人生おしまい」になってしまうなんて、何と救いのない話だろうか。吾等視聴者は「早めに諦めるべし」とか「仕事は程々に誤魔化すべし」とか云った鑑戒を得るほかないかもしれぬ。
東凛大学医学部における「法医学ゼミ」の学生五人組の一人、石末亮介(生田斗真)は久保秋佳奈子(石原さとみ)との会話の中で、加地大己(瑛太)も久保秋も確り法医学に打ち込んでいて立派だと思う…とか云っていた。本気だろうか。悪い冗談としか思えない。彼等五人組の中で法医学の技術や知識の取得に本格的に没頭しつつあると云えるのは、少なくとも今宵の話を見る限り、法医学研究室の老いた研究職の技師、蕉木誠(泉谷しげる)のために徹夜してまでもデータ採取の作業の補助をつとめ上げた桐畑哲平(遠藤雄弥)と羽井彰(佐藤智仁)の二人組位ではなかったろうか。