富豪刑事・H2君といた日々

テレビ朝日系-木曜ドラマ「富豪刑事」。筒井康隆原作。蒔田光治脚本。長江俊和演出。深田恭子主演。第二話。
馬鹿馬鹿しくて実に楽しかった。美術館の誇る高価な名画を怪盗Xに奪われないようにするため、その名画よりもさらに高価な名画を何点も購入しておいて周囲に並べておくという美和子(深田恭子)の発想はやはり凄い。事件解決後の、あの夫婦愛についての美和子の演説も、人々に感動を与えるどころか反対に、桁違いの大富豪ならではの浮世離れした思考によって人々を完全に置いてきぼりにしてしまっていた。美和子の説はそれ自体は決して非常識ではないが、唯一、富豪ではない者たちの現実を知らないことで非現実的な説に化してしまっていると云える。結果、涙を誘うかに見せかけて実は誘わない場面に化した。そこが楽しい。鎌倉警部(山下真司)が既に美和子の壮大な提案に反発しなくなっているのも面白かったが、布引刑事(寺島進)が美和子と普通に接しているのも面白かった。美和子の「あの、ちょっとよろしいですか」の挙手に始まる提案の場が今や待ち遠しく思われてくる。
事件の依頼者が実は真犯人でもあるというのは「トリック」によくある結末だから、「トリック」と同じ脚本家によるこの作品でも最初から依頼者の三井(岡田眞澄)が怪しいと予想できた。それでも面白さは揺るがない。
TBS系ドラマ「H2・君といた日々」。あだち充原作。今井夏木演出。山田孝之主演。第二話。
よく知られる通り、このドラマの主な出演者たちには「ウォーターボーイズ」出演者たちが少なくない。田中幸太朗は映画版の出演者。山田孝之石垣佑磨テレヴィドラマ第一弾の出演者。そして石原さとみ中尾明慶テレヴィドラマ第二弾の出演者。今宵放送の第二話の随所に「ウォーターボーイズ」の偽者たちが登場していたのは無論それを踏まえてのことだろう。「仮面ライダー剣」でレンゲル=上城睦月を演じた北条隆博も今宵から登場したが、彼もまたテレヴィドラマ版「ウォーターボーイズ」第一弾の出演者だった。
原作者あだち充と思しい人物は先週に続いて今週も登場した。本人かどうか定かではないが、毎週あだち充を番組内で探すのも楽しい課題だ。