ごくせん第四話

日本テレビ系ドラマ「ごくせん」第四話。仲間由紀恵主演。
先ず気になったのは矢吹隼人(赤西仁)の髪型が少し変わっていたことだ。前回までは前髪を垂らしていたのに今回はデコを出していた。悪くはないが、やはり前髪を垂らした方がよいように思う。
さて、先週までの三話では三年D組の生徒たちがヤンクミ(仲間由紀恵)と遭遇し対決したのち信頼を築きゆく過程を描きながら、小田切竜(亀梨和也)・矢吹隼人を中心に、彼ら生徒たち全員の全体としての性格・雰囲気を表現した。続く今週の第四話では三年D組の生徒たちの中の一人、土屋光(速水もこみち)に焦点を合わせた。こうして第一話と第二話で設定された「黒銀学院三年D組」という舞台が第三話で詳細化されたのち、この第四話からはさらに個別的・具体的に動き始めたのだ。
それにしても、小田切竜の冷静な姿勢は徹底していた。黒銀学院が来年度から男女共学化されるという報に接して、矢吹隼人・土屋光・武田啓太(小池徹平)・日向浩介(小出恵介)はじめとする三年D組の生徒たち全員が大いに歓喜して沸いていたときにも、小田切竜一人だけは冷静な表情のまま教室の最後部の席に座したままだった。また、黒銀学院への入学希望の女子中学生を対象とした学校見学会の日、三年D組の連中が存在感を示すため決起し、行動開始の前に先ずは気合の円陣を組んだときにも、小田切竜は加わらなかったと思しい。円陣を組もうと三年D組の連中が集まろうとしていたとき小田切竜は戸惑いながら立ち尽くしていた風情だったからだ。でも、三年D組の全員で行動するときには彼も従って参加するばかりか、率先して行動することをも辞さない。無茶だと判っていても、戸惑いながらも結局は参加し、仲間たちと一緒になって前向きに行動してしまう男子なのだ。
とはいえタコヤキ屋台「大江戸一番」で五人でタコヤキを食う場面、小田切竜一人だけ一個も食わないで、他の四人が喜んで食っているのをただ見詰めるだけだったのは見ていて寂しかった。「ザテレビジョン」二〇〇五年第六号に載る写真(p.9)において小池徹平が背後の亀梨和也の口の中にタコヤキを入れてあげていたのは、ドラマ内で食えなかった亀梨和也の寂しさを癒してやるためだったのか。
他方、矢吹隼人の愛嬌ある言動も徹底していた。例えば学校見学会の日の朝、気合の円陣を組んで矢吹隼人は「年下でも大丈夫ですか?」「頑張ってくだぱい!」と檄を飛ばしていたのだ。これに他の連中が皆「ぱい!」と呼応していた。面白かった。「くだぱい」という台詞が登場するのは二度目だ。今後も期待しよう。
矢吹隼人は何時も日向恵介をからかって面白がっているようだ。前回の場合、ヤンクミのかつての教え子クマ(脇知弘)の経営する「熊井ラーメン」で叉焼麺を食っていたとき、矢吹隼人は日向恵介の丼に隙を突いて醤油を注いでいた。そして今回はタコヤキ屋台へ向けて神社の境内を五人で歩いていたとき矢吹隼人は日向恵介一人だけを石畳から幾度も突き落としていた。
なお日向浩介役の小出恵介は表情が豊かだ。彼は芸能事務所アミューズの所属だから前作「ごくせん」出演者の森本亮治の同僚に当るが、表情の自在な変化を得意とするという点が似ていると云えるかもしれない。