みんな昔は子供だった最終回

フジテレビ系ドラマ「みんな昔は子供だった」。国仲涼子主演。第十一話=最終回。このドラマが理想の教育として掲げるものが所謂「ゆとり教育」の類であるということを見抜けるかどうか、そしてそのような教育に首肯できるかどうか。さらには、田舎というものに対する都会人の空虚で素朴な幻想に付いて行けるかどうか。このドラマを肯定できるかどうかはそういった問題群への反応で決まるだろう。単純な所謂「詰め込み教育」がよいはずがないが、だからと云って逆に「ゆとり教育」で行くべきであると考えるとすれば、それもまた救い難く粗雑な思考だ。勉強か?豊かな心か?という二者択一は極論に過ぎるし、大体「カテゴリー不適合」の類ではないのか。飢えに苦しんでいる子どもの前では芸術は無意味だ!と主張する類の芸術家追放論は近代思想では馴染みの言説だが、このドラマの根底にある思想はそれによく似ていると理解して可だろう。確かに飢えに苦しんでいる人の前で芸術は無意味だろうが、そもそもそのような二者択一が成立するのはどのような場においてであるのか、現実にそのような局面が存在するのかどうか、冷静に考える必要がある。このドラマは、云わば、そのような二者択一の成立する場面を無理矢理に拵えることで成立したのだと云える。