木更津キャッツアイ映画

映画「木更津キャッツアイ日本シリーズ」。宮藤官九郎脚本。金子文紀監督。二〇〇三年に劇場で公開されて興行収入十五億円を超え、日本映画としては大成功だった作品。今宵九時からTBS系「水曜プレミア」で放映された。この物語「木更津キャッツアイ」は、もともとはテレヴィドラマとして二〇〇二年一月から三月にかけて全九回にわたり放送され、一個の物語として完結していたが、主演者の所属事務所の強い要望により、この映画版が余話として作られたと聞く。さて、どうだったか。二時間の映画をテレヴィの二時間番組で放送する以上、かなりの削除が断行されたはずで、そうであれば不完全な出来に陥った恐れがある。実のところ今宵のテレヴィ放映で見た限り、大して面白くもない駄作であると認定するほかない。二〇〇二年版のあの完成度の高さ、面白さがここにはない。全くの別物に堕している。だが、堕落の原因を単に放映時間の都合による過度の削除のみに求めるのは正しくない。物語自体が破綻しているようにも思えるからだ。時間と空間との両面にわたり非現実的に大きな幅で主人公たちが動き回るところの面白さは二〇〇二年版の特徴の一つだったが、この二〇〇三年版ではそれが無理矢理に乱用されていて、急展開の連続であるのに不思議と勢いを感じさせない。