瑠璃の島

日本テレビ系-土曜ドラマ瑠璃の島」。第三話。
藤沢瑠璃(成海璃子)の実母、藤沢直(西田尚美)が沖縄の鳩海島に来た。もちろん藤沢瑠璃に会いに来たのだが、斉藤茂(賀集利樹)と中嶋美月(井川遥)の二人組が早合点して心配したように都会への連れ戻しのために来たのではなかった。驚いたことに、逆に親子の縁を切りに来たのだ。これまでも育児を常に放棄して勝手気ままに生きてきた藤沢直は、現在の交際相手と「できちゃった婚」をすることになったのを機に、「人生をやり直したい」と考えたというのだ。「人生をやり直す」という言葉は世に広く用いられるが、それが正真正銘「白紙撤回」の意味であるなら、邪魔者と認定された者は全て情け容赦なく捨てられることになる。捨てられる側がそれを望んでいるなら問題はないが、それを望んでいないなら不幸が生じることになる。捨てる側の幸福のために、捨てられる側が不幸に見舞われることになる。今宵の第三話の瑠璃がまさにそれだった。
瑠璃がそれを受け入れた上で、悲しみからわずか一晩で立ち直ることができたのは、米盛照明(小日向文世)と川島達也(竹野内豊)が月夜の浜辺で亀の子たちの旅立ちを見せてくれたからだったが、その光景は同時に、瑠璃とは仲違いしてきた小学校教師の島袋さなえ(小西真奈美)の改心をも決定的にした。とはいえ改心のときを気長に待ち続けた小学校長の小浜学(岸部一徳)の人格力を見落としてはならないし、瑠璃を「娘」として迎えた鳩海島の民宿の主人、仲間勇造(緒方拳)の妻、仲間恵(倍賞美津子)の大度量が、瑠璃の立ち直りばかりではなく島袋さなえの改心にも大きく作用したことは見逃せない。鳩海島の住人たちは子ども染みた人々ばかりだが、時々このように圧倒的な大度量、熱血、人格力を発揮するのだ。