義経

NHK大河ドラマ義経」。滝沢秀明主演。第十七回。
響く鬼!のちに響鬼として生まれ変わることになるはずの男、正四位下蔵人頭の左近衛権中将平重衡細川茂樹)は治承四年(1180年)、南都の「魔化魍」とも云うべき僧兵の退治を入道相国(渡哲也)より命じられ、興福寺東大寺を襲撃。その音撃の烈火は勢い余って奈良の大仏をも火炎に包み込んだ。まさしく鬼の所業だ。悪僧を懲らしめるためだったとはいえ大仏をも焼いたのは本意ではなかったろうし、こんなことをしては天罰を免れないはずだ。頭中将平重衡室輔子(戸田菜穂)はそのことを心配し、驚きと哀しみの余り義母の平時子准后(松坂慶子)に相談していた。なお今回はその他、従三位左兵衛督平知盛阿部寛)は何時もの白い直衣装束のほか総大将としての甲冑姿をも披露したが、殆ど顔しか映っていなかった。正二位権大納言近衛大将春宮大夫平宗盛鶴見辰吾)に至っては出番がなかった。そして福原から平安京へ戻った入道相国はカムロ姿の五足(北村有起哉)一人を話相手にして夕陽の中、いかにも寂しげだった。
鎌倉。源九郎義経滝沢秀明)を愛していたはずの武蔵坊弁慶松平健)が漁師の娘の千鳥(中島知子)との恋に落ちてしまった。結局のところ彼は今まで女を知らなかっただけなのだ。その意味で彼は本物ではなかったのだ。他方、「鎌倉殿」右兵衛権佐源頼朝中井貴一)の邪な好意に気付き北条政子財前直見)の嫉妬を予感した侍女の手古奈(上原美佐)は平安京への帰郷を決意し、同じく帰京を決意していた静御前石原さとみ)は手古奈に同行することにした。かの岩佐又兵衛が山中の常盤御前について描いたような目に遭わないことを祈念しておこう。