義経

NHK大河ドラマ「義経」。滝沢秀明主演。第二十話。
従一位内大臣平宗盛（鶴見辰吾）の邸宅では、彼の子、正三位右衛門督平清宗（渡邊邦門）と、正二位権大納言“池大納言”平頼盛（三浦浩一）の姫との間の結婚披露宴が執り行われた。宴席には両家のほか、従二位尼平時子准后（松坂慶子）、正二位権大納言平時忠（大橋吾郎）、従二位権中納言平知盛（阿部寛）等が出席した。ところが、直後、内大臣宗盛は今回の婚姻をめぐり大いに怒った。この婚姻を決めたのが実は二位尼の独断ではなく、むしろ二位尼を説得したのが権中納言知盛だったことを知ったからだ。かつて平治の乱のあと右兵衛権佐源頼朝（池松壮亮）の助命を嘆願したのが池禅尼（南風洋子）だったことから、内大臣宗盛は池大納言頼盛にまで八つ当たりをしていて、従って内心では今回の婚姻に反対だったのだ。これに対し権中納言知盛が殆ど強引に今回の婚姻を進めたのは、そういった一門内の不和を早期に解消しておきたいとの意図に出たものだった。兄の内大臣が源氏打倒を目標に掲げる余り源氏に所縁ある全てを憎んでいるのに対し、弟の権中納言は源氏と戦い抜くためには先ずは平家一門の結束を強化しなければならないと判断しているわけだ。ここにおいて再び兄弟間の公私の感覚の有無が露呈したわけなのだ。
鎌倉では梶原景季（小栗旬）が源九郎義経（滝沢秀明）に急接近。鎌倉殿＝右兵衛権佐源頼朝（中井貴一）に重んじられ侍所の所司にまで取り立てられた能吏、梶原景時（中尾彬）の子として、彼は天下の情勢に明るい。情報の集積にも分析にも秀でているから、義経や武蔵坊弁慶（松平健）の疑問に即座に解答してくれる。そして実のところドラマ視聴者にとっても非常に明快な解説者になっているのだ。木曽冠者＝源義仲（小澤征悦）が新宮十郎＝源行家（大杉漣）等を「厄介な方々」呼ばわりしたのが面白かった。でも確かにあの虚言癖は厄介だ。現実にいたらかなり迷惑な奴だ。