曲がり角の彼女

フジテレビ系ドラマ「曲がり角の彼女」。稲森いずみ主演。第六話。
このドラマは観者への激励であり得る。その意味で実によい番組だと思う。中には大島千春(稲森いずみ)が部下の若い男子二名に「仕事マシーン」と陰口を叩かれてしまった場面のような、少し物悲しい部分も少なくはないが、千春自身が「悪気のない言葉ほど心にグサッと来るときもある」と表現することで却ってそれは観者の共感を誘う場面にもなり得る。
今回の千春の営業の相手、エステ企業の敏腕社長、倉田ミホ(木野花)が、意地悪で頑なな第一印象に反して、意外に柔軟で偏りのない好人物だったのも面白かった。また千春の年下の同僚、三原なつみ釈由美子)が実家の経済状態の苦しさによって常に追い詰められていることがますます明らかになってきた。なつみが仕事のことでも恋のことでも常に余裕を欠いている所以も、それによって了解できる。もはや嫌な奴ではない。三宅修二(金子貴俊)のような人物も組織の健全化には必要であることが描かれたところも好ましい。一人で鮮やかに職務を処理できなくとも、上司や同僚の仕事の補佐役に徹することのできる人材は、中途半端に有能な人物よりも組織にとっては真に有益なのだ。そのことを見抜けない愚か者は往々間違った人事を断行するものだ。
ところで、千春は不倫相手の堀内正光(伊原剛志)との関係を副社長の甲本一樹(要潤)に気付かれてしまい、「嫌いな上司に弱みを握られた」と云っていたが、「嫌いな上司」とうのは本音であるのかどうか。どう見ても似合いの二人であるのに。