anego・アネゴ

日本テレビ系ドラマ「anego・アネゴ」。林真理子原作。中園ミホ脚本。制作協力オフィスクレッシェンド篠原涼子主演。第六話。
主人公「アネゴ」=野田奈央子(篠原涼子)が東済商事において事務職から総合職へ転ずるための試験を受けるよう経営戦略部の阪口部長(升毅)に勧められ、決意して受験勉強を始めた。奈央子を「アネゴ」として慕う新入社員の黒沢明彦(赤西仁)の協力もあってか、筆記試験には無事合格。その日の午後一時から面接試験に臨まなければならない大事なときに専業主婦の沢木絵里子(ともさかりえ)からの緊急の相談の電話があり、悩んだ挙句、奈央子は試験を諦めて絵里子の手助けに走った。異常な事態だが、奈央子がそうするのは見えていた。問題は、絵里子がどうして何でも奈央子にばかり相談するのか?という点にあるが、その点は今回の話で全て説明された。絵里子にとって奈央子は、絵里子がまだ東済商事で働いていたときから何でも頼りになる女、いわば「アネゴ」だったのだ。しかも絵里子にとって夫の沢木翔一(加藤雅也)は、何でも相談できるはずの唯一の存在であるにもかかわらず現実には何一つ相談に乗ってくれない冷たい男なのだ。おまけに娘の真琴の通う幼稚園の保護者会では他の主婦連の共謀により会長職を押し付けられてしまい、精神的にますます孤独な状況へ追い詰められた。そうした現状で唯一頼れるのは奈央子だけだったのだ。
これら一連の騒動には三点ばかり副産物があったかと思う。(一)絵里子が精神的に病んでいることの原因として自ら語った夫の浮気の話は、実は絵里子の作り話でしかないらしいと判明した。精神的に病んでいる人に虚言癖があるのは自然だが、そのそもそもの原因と思われた事件そのものが既に虚言だったのだ。(二)奈央子と黒沢明彦との距離が今まで以上に縮まった。半ば同棲といってよい程に接近している。このあとに交際が成立すれば普通だが、そうでなければ逆に、過剰に悲劇と化すだろう。(三)奈央子の「アネゴ」性がいよいよ強固になった。今や誰にとっても頼りになる人物だ。しかるに全ての人々の利害が一致することなど滅多にないことである以上、皆から頼られる人は必ずや誰かを裏切らざるを得ない。そうなると何れ、皆の味方は皆の敵に転じ得る。