女王の教室

日本テレビ土曜ドラマ女王の教室」。遊川和彦脚本。岩本仁志演出。制作協力は日活撮影所。天海祐希主演。第三話。
何と恐ろしい物語だろうか。凍て付く程に冷たく、底冷えする程に寒々しい。とはいえ教室の女王、阿久津真矢(天海祐希)の主張はどこまでも正しく、正しいからこそ無敵で恐ろしいのだ。
今宵の話の恐ろしさは、神田和美志田未来)が、友のいない孤独な級友の馬場久子(永井杏)に救いの手を差し伸べ、友情を築いた挙句、当の馬場久子自身の裏切りによって孤立状態に追い込まれた点にある。両名の友情が深いものだっただけに裏切りは痛かったが、もっと痛かったのは、佐藤恵里花(梶原ひかり)をはじめとする級友たち皆が突然の形勢逆転の出来について神田和美には一言も知らせないまま、他の皆で確り団結していたことだ。ここにあるのは単なる裏切りではなく、むしろ積極的に神田和美一人を見殺しにする陰謀であると云うべきだろう。保身のために計算された恐ろしく冷酷な陰謀だ。しかるに、このような冷酷非情の裏切りは現実の社会を満たしている。見捨てられた神田和美真鍋由介(松川尚瑠輝)の両名に救いの手を差し伸べた新藤ひかる(福田麻由子)のような高潔の精神は報われないのかもしれない。悔しいことだ。しかも反面、馬場久子のような卑屈の精神は意外に報われるのかもしれない。悔しいことだ。