電車男

フジテレビ系ドラマ「電車男」。中野独人原作。徳永友一脚本。武内英樹演出。伊東美咲伊藤淳史主演。第六話。
これまで余りにも順調だっただけに一波乱あるだろうとは予想されたが、それが松永氏=松永勇作(劇団ひとり)と川本氏=川本信二(菅原永二)により惹き起こされたのが何とも哀しい。電車男=山田剛司(伊藤淳史)としてはヲタク同士の同志愛を大切にしたかったろうし、もちろんヲタクとしての永年の情熱も抑え難かったろう。山田の行動は充分に理解できる。だからこそ無念にもなる。それにしても人間関係の密度がどんどん濃厚化しつつある。山田の天敵、陣釜美鈴白石美帆)は「エルメス」=青山沙織(伊東美咲)の弟、青山啓介(速水もこみち)と交際し始めたし、電車男の掲示板の住人たちは「エルメス」愛飲の紅茶の店で図らずも「オフ会」状態になっていた。青山啓介の働く店の主人、桜井和哉(豊原功補)も密かにその掲示板の住人で、そこで話題の「エルメス」の正体が昔からよく知る青山沙織のことだったことに今回ついに気付いた。だが、実のところインターネット上の匿名の世界の知人を現実の世界でも知るということ、さらにはそうした未知の友が実は現実の世界で既に知っていた人に他ならなかったと知るということは、稀に経験し得ることではあるのだ。