月九スローダンス

フジテレビ系「月九」ドラマ「スローダンス」。妻夫木聡深津絵里主演。衛藤凛脚本。成田岳演出。第九話。
愛のない肉体関係に意味はないという前提の下、意味ある肉体関係に愛はあるはずであるとの論理によって物語は展開した。要約するに、本当は互いに愛があるのに素直に認めようとしない不器用な二人というのを描きたいわけなのだ。もっとも、芹沢理一(妻夫木聡)と牧野衣咲(深津絵里)の両名とも素直ではないことは既に充分に強調されてきたわけだから、ここで表現されたのが両名の相手への愛の自覚であるのは論を俟たない。そして自覚がさらに両名それぞれの不器用により互いへの誤解を深めさせる構図を作ったのだ。問題は、前回も書いたように、肉体関係は必ずや愛を伴うはずであるという想定が余りにも単純明快で凡庸で面白くない点にある。なお、理一からの恋愛相談を一坂進(温水洋一)はインターネット上で受け付けるべきではなかったか。彼が入り浸っている電車男掲示板であれば彼に分からないことでも誰か他の人々が的確な意見を述べることができたに相違ない。