仮面ライダー響鬼30之巻

テレビ朝日系“スーパーヒーロータイム”ドラマ「仮面ライダー響鬼」。細川茂樹主演。三十之巻「鍛える予感」。
謎の転校生、桐矢京介(D-BOYS中村優一)登場。少年=安達明日夢栩原楽人)の通う城南高校の同じ教室に転入し隣の席に着いた。英語と仏蘭西語に秀で、学業に卓絶。富裕でもあり昼食には寿司の出前を取る程。放課後の部活動でも、吹奏楽器をよくするばかりか将棋にも強い。ヲタク風のマンガまでも描けてしまう。何でもできてしまい、どの部の水準をも超えてしまうから特定の部に所属する気にもならない。何一つ欠けていることのない凄まじい高校生。感心するばかりの明日夢に対しては「君ってツマラナイ人間だよな」とまで言い放ち、またしても明日夢は落ち込んでしまった。しかも憂鬱の少年に追い討ちをかけたのは何と持田ひとみ(森絵梨佳)だった。桐矢の強烈な「インパクト」は持田を含めた女子たち皆を圧倒し魅了していたのだ。
ところが、後半、明日夢は桐矢の弱点を二つ知った。どうやら彼は、スポーツ類が軒並み駄目で、そして母親には頭が上がらないらしい。父親を既に亡くし、桐矢家は母子家庭。しかも桐矢の母は仏蘭西に単身赴任中で、桐矢京介とは大型テレヴィ電話で連絡を取り合っているようだ。だから当然、桐矢の母の見るテレビ画面には桐矢の横にいる明日夢の姿も写っていた。カワイイ吾が子が我侭なガキでしかないことをよく知っている桐矢の母はそんな京介に明日夢みたいな友達ができたことを喜んでいた。ここに、攻撃的な仮面の奥の真実を垣間見ておくのは間違いではないだろう。恐らく桐矢京介は孤独な少年だったのだ。「俺ってそんなにツマラナイ人間なのかな?」と改めて訊いた明日夢に桐矢が「さあ、どうかな?」と笑ったのもそのことを物語ると云えるかもしれない。多分、彼は軽い冗談のつもりで「ツマラナイ人間」と云ってみただけなのに明日夢が深刻に思い悩んでいたことを知って思わず笑ってしまったのだろう。大体「ツマラナイ」と本気で思っていたら、ここまで明日夢に付きまとわないだろうし、まして自宅に招き入れることなどあり得ない話だ。むしろ彼は明日夢と仲良くなりたかったのだ。明日夢には不思議な人々を引き寄せる磁力があるのだと云わざるを得ない。
そして今朝の三十之巻の巻末、明日夢と桐矢の前に魔化魍が出現。恐怖の余り腰を抜かした桐矢を俊敏に助けた明日夢。なるほど明日夢は非常事態には強くなっていたのだ。それなりに鍛えられてはいたのだろう。そこに駆け付けた威吹鬼=イブキ(渋江譲二)。そして響鬼=ヒビキ(細川茂樹)。彼ら鬼たちの戦闘を目の当たりにすることで桐矢の中でも「何かが変わって」くるのかもしれないが、それは次週以降の話だ。