ごくせん同窓会スペシャル

日本テレビ系「ごくせん同窓会スペシャル」。
夜九時から二時間半の特別番組。会場には本年一月から三月まで放送された「ごくせん2005」の主要な出演者たちの殆どが勢揃いして、本編の要約版や名場面集や未公開場面集を見ながら当時のことを語る番組。出演者たちの配席は既に各テレヴィ雑誌に見た通り。最前列の中央には無論ヤンクミ役の仲間由紀恵。ヤンクミの左には小田切竜役の亀梨和也、右には矢吹隼人役の赤西仁。彼らの後ろ、二列目の中央には、左から順に馬場正義役の東幹久、白鳥ひとみ役の乙葉、猿渡五郎教頭役の生瀬勝久、土屋光役の速水もこみち、武田啓太役の小池徹平、日向浩介役の小出恵介。そして彼らの周囲に黒銀学院3年D組の生徒たち。例えば速水もこみちの背後にいるのが大森百輔役の水谷百輔。彼の右には川田優一役の中村優一。亀梨の背後三列目には秋山陽介役の川村陽介。最前列の右から二人目は小島祐基役の佐藤祐基
で、船木健吾役の熊本美少年、高良健吾は欠席だったのだろうか。
要約版は第一話(小田切竜の話)・第二話(矢吹隼人の話)・第四話(土屋光の話)・第九話(小田切竜の話)のあと第五話(武田啓太の話)・第六話(日向浩介の話)を取り上げ、最後にはもちろん第十話=最終回の卒業式スペシャルを取り上げた。卒業式の回には生瀬勝久の怪演スペシャルと評するも過言ではない面白さがあったのをはじめ各話とも傑作だったが、私的には第六話が、日向浩介(小出恵介)と母の治代(手塚理美)の、素直になれない親子の間の絆を描いていて白眉だった。ことに治代が心配の余り浩介に電話をかけた夕暮れ時の場面は、今回の要約には採られなかったものの、男の子と母親との間の複雑ながらも確かに存在するはずの情というものを簡潔にも鮮やかに描出していて秀逸だったと思う。
今回こうして改めて見て、川田優一役の中村優一が意外に目立つ位置にいたことに驚いた。例えば最終回の卒業式の直前、3年D組の生徒たち全員が職員室に押しかけてヤンクミ辞任の撤回を要求した場面では彼は最前線、矢吹隼人(赤西仁)等の直ぐ近くに立っていた。ジャニーズJr.現在最強の花形の一人と云わばジャニーズ系の彼とが並んでいて実に美麗な絵ではあった。川田優一は黒い学ランの下に水色の(花柄の?)シャツを着ているのでサワヤカな格好だが、放送当時の雑誌「ザテレビジョン」二〇〇五年八号の「ごくせん」大特集記事の名簿では「笑顔がかわいい平和主義者」として紹介されていて(p.11)、なるほど役柄と服装が合っている。
番組の最後、主題歌「NO MORE CRY」を歌うためD-51が登場したとき水谷百輔は感激の表情で中村優一に語りかけ、対する中村優一は満面の笑顔で水谷百輔に応じていた。やはり二人は親しいようだ。ちなみに大森百輔は「ザテレビジョン」の名簿では「圧倒的な目ヂカラ!」と紹介されていて、ここでも両名は並んでいる。
ところで、二〇〇二年と本年の二度にわたるテレヴィドラマ化「ごくせん」の見所の一つは生徒役として大勢の美男子を揃えたことにあるが、何れにおいても主に出番と台詞を得るのは準主演級の各五名のみで、他の出演者たちには出番も台詞も多くは準備されない。そうした中で彼らが皆それぞれ少しでも画面の目立つ位置に映り込もうと頑張るものであることは、本年三月発売の雑誌「HERO VISION」第十八号における森本亮治冨田翔の対談「ごくせん同窓会」において明かされた。二〇〇二年版「ごくせん」白金学院3年D組の生徒役だった両名によると、あの楽しい学園ドラマの撮影現場の真相は、売り出し中の俳優たちの生き残りをかけた過酷な戦場だったと云う。そして森本亮治冨田翔は「ごくせん」という最強の戦場において、云わば共同戦線を張った戦友だったと云うが、なるほど確かに両名とも殆ど必ずのように仲間由紀恵松本潤の直ぐ近くに映り込んでいたものだ。そういえば「D-BOYS写真集」で中村優一は「今まででいちばん印象に残ってる仕事」に彼のデビュー作である「ごくせん」を挙げつつ、「その仕事で後悔していること」として「演技がヘタでセリフがカットされたこと」を挙げていて、そう考えると森本亮治の新人らしからぬ活力に改めて驚かされる。彼もあれがデビュー作だったのに出番も台詞も意外に多くて異様に目立っていた上、卒業式スペシャルでは「ごくせん」出世頭の成宮寛貴と殆どコンビに近い扱いをされる程にまで昇格していた。彼のあの活力と実力があったからこそ同じアミューズ所属の小出恵介にも絶好の機会が与えられたのかもしれない。

ごくせん 2005 DVD-BOX
青春アミーゴ (初回限定生産盤) 青春アミーゴ (通常盤)