野ブタ。をプロデュース第2話

日本テレビ土曜ドラマ野ブタ。をプロデュース」。プロデューサー河野英裕白岩玄原作。木皿泉脚本。池頼広音楽。岩本仁志演出。亀梨和也山下智久主演。PRODUCE-2(第二話)。
桐谷修二(亀梨和也)が「野ブタ。」=小谷信子(堀北真希)のプロデュースを開始。陰湿な苛め状況を打破するためには先ずは美しくなるのがよい!との判断から、まるで幽霊のように無造作に伸び切った長い髪を一気に切ってオシャレな髪型に整え、服装もオシャレに変えた。ここにドラマが二つあった。一つ。信子がこれまで髪を切ろうとしなかったのは、自身の分身としての日本人形の髪型に合わせたかったからである以上に、自身にオシャレな髪型など似合わないと思い込んでいたからだった。桐谷修二はそうした思い込みを改めさせるため、信子の要求に従ってオシャレさの欠片もない服装を着てみせた。それを見て信子も自身の好みに反する髪型に挑戦することを決意した。この話が物語るのは、彼の「プロデュース」ゲームが既に自己犠牲的な側面を持ち始めていることだ。彼は本気へ化しつつある。
そしてもう一つ。信子がオシャレな服装をしなければならないのは制服に「ブス」と落書きをされてしまったからでもあった。黄色いペンキで大きく書かれているため洗っても落とせない。隅田川高等学校の校則では、原則として通学時には制服を着なければならないが、着用を妨げるだけの特別な事情のある場合にはその限りではないと定められている。プロデューサー桐谷はその規則を根拠に佐田杳子教頭(夏木マリ)に許可を得た上で、信子に思い切りオシャレな服装で通学させたのだ。こうして髪型も服装も一変させた信子は学校中の生徒たちの注目を集め、一気に大人気を得た。必然の結果として他の女子生徒たちも私服での通学を希望し、自らの制服に落書きをしたが、佐田教頭はそれら後続の落書き制服が全て苛めとは無縁であることを見抜いた。だが、信子にだけ私服での通学を許可して他の生徒たちには認めないという教頭の判断に生徒たちが猛反発。結局は信子が自ら翌朝以降は落書きされた制服で登校することを宣言したため、桐谷プロデューサーの作戦は中断を余儀なくされたものの、桐谷は大逆転の作戦を実行した。翌朝、彼と草野彰(山下智久[特別出演])の二人もそれぞれ制服に落書きをして登校したのだ。もちろん例の数人の女子生徒たちも自らの制服に落書きをしていたわけだから、その朝、黄色いペンキの落書きの付いた制服を着た生徒たちが何人もいる有様だった。云わば落書き付き制服の流行が「キタ」のだ。この流行は広がり、暫くは続いたらしい。桐谷がオシャレな人気者で流行の発信者でもあることがこの情勢を創造したのは云うまでもない。
桐谷修二の人物像に関して確認しておくべきことがある。それは、学校一の人気アイドルである彼の人気の秘訣は、単に陽気で調子よくてオシャレであることにあるのではなく、むしろ厚い人望にこそあるということだ。教室内に諍いが生じたとき、それを平定するのは彼の役割だ。友人の吉田浩(石井智也)・谷口健太(大東俊介)をはじめとする周囲の人々が皆、そのことを期待している。そして彼は機転を利かせ、調子よく人当たり柔らかな言動で上手い具合に事件を解決してみせるのだ。彼が信子を救い出すために立ち上がるのは自然の成り行きだったと云えるだろう。
佐田杳子教頭の洞察力と度量にも改めて注目したい。何者かによって制服に落書きをされた件で私服での登校の許可を申請した信子に対し、優柔不断な担任教諭の横山武士(岡田義徳)は校長不在の中で対応に迷っていたが、それを見た教頭は直ちに不在の家原靖男校長(不破万作)に代わり決裁を下し許可を与えた。しかも「明日は思い切りオシャレな格好で来い!」と声をかけたのだ。
桐谷修二と草野彰が小谷信子のためのオシャレな服を買いに行った場面。桐谷の格好は「学校へ行こう」における森田剛のようだった。
落書きの真犯人がどうやら「バンドー」=坂東梢(水田芙美子)率いるイジメ集団ではなかったらしいことも含めて今後さらなる激動があることが予測される。期待しつつ見守らなければならない。それにしても亀梨和也は歌に恵まれている。「ごくせん2005」における挿入歌「絆」もよかったが、この番組の主題歌「青春アミーゴ」もよい。

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