義経第44話
NHK大河ドラマ「義経」。滝沢秀明主演。第四十四話。
知盛幻生。船弁慶。壇ノ浦に入水した新中納言平知盛(阿部寛)の怨霊には流石に迫力があったが、暴風雨に揺れる船の演出は当然コント風だった。
これに先立ち源義経(滝沢秀明)が京を去り西国へ逃れることを決意し「治天の君」後白河院(平幹二朗)に別れを告げたとき、院と寵姫の丹後局高階栄子(夏木マリ)は喜びを隠し切れない様子だった。院も局も既に義経を見捨てるつもりだったが、生憎その巧い口実がなくて弱っていたのだ。そうした中で義経が自ら消え去ってくれるわけだから嬉しくないはずがない。公家の恐ろしさは、彼らが何らかの力を備えていることにあるよりはむしろ彼らが自立できるだけの武力を持ち合わせていない点にこそあるのかもしれない。
無論この口実の欠如が仇になったのは云うまでもない。言い訳のため鎌倉に下った院近臣「鼓判官」平知康(草刈正雄)は鎌倉殿源頼朝(中井貴一)・北条時政(小林稔侍)・大江広元(松尾貴史)の三名から次々質問攻めに遭い、流石に言い訳し切れなかった。あんなにも弱気な鼓判官は初めてだ。