花より男子第8話

TBS金曜ドラマ花より男子」。神尾葉子原作(漫画)。サタケミキオ脚本。片山修演出。TBSテレビ制作。井上真央主演&松本潤小栗旬松田翔太阿部力助演。第八話。
古来、恋愛物語を盛り上げる要素として死の影を投げかけることがある。よくあるのは闘病による困難の発生だが、その系譜の延長上にはその鮮やかな逆転としての、闘病における生きる喜びを象徴するために理想の恋人を出現させた「1リットルの涙」のような作例も挙げられ得る。だが、本作品「花より男子」の場合もっと巨大な恐怖を持ち込んだ。貧しい一庶民の生活を破壊して生命をも奪うには充分過ぎる権力を備えた道明寺楓(加賀まりこ)を、貧しい主人公、牧野つくし(井上真央)と対決させたのだ。内閣総理大臣の人事をも動かしてしまえる道明寺楓の絶大な影響力が、小さな庶民生活におけるささやかな幸福を完全に潰すために総動員されたのだから、流石の牧野つくしでさえ弱気になるのは無理もない。先週までの七話にわたり牧野晴男(小林すすむ)と牧野千恵子(石野真子)と牧野進(冨浦智嗣)の貧しくも幸福な生活が執拗なまでに描き続けられてきただけに、突然の転落は痛ましい。この生命の危機とも云える極限状況の中で、道明寺司松本潤)と牧野つくしの愛、道明寺司と花沢類(小栗旬)・西門総二郎(松田翔太)・美作あきら(阿部力)とのF4の友情が再確認された。