1リットルの涙第10話

フジテレビ系ドラマ「1リットルの涙」。木藤亜也原作。江頭美智留大島里美脚本。木下高男演出。フジテレビ&共同テレビ制作。沢尻エリカ主演。第十話。
先週金曜日「花より男子」の感想文で述べたように、古来、恋愛物語を盛り上げる要素として死の影を投げかけることがあり、よくあるのは闘病による困難の発生だが、「1リットルの涙」の場合、闘病における生きる喜びを象徴するために理想の恋人を出現させた点で、云わば闘病恋愛ドラマを完全に逆転されたものとして、その系譜に連なる。しかるに闘病における生きる喜びが単純ではないことを表現したのが今宵の第十話だった。池内亜也(沢尻エリカ)にとって麻生遥斗(錦戸亮)とともに過ごす幸福な時間は、病に因り叶わないことの何と多いかを痛感させられる苦悩の時間でもあったのだ。
ところで。中原慶太(橋爪遼)は北海道の大学の獣医学科に合格したのに対し恩田耕平(水谷百輔)は八校受験して全て失敗。この結果を受けてか杉浦まり(小出早織)や松村早希(松本華奈)は俄然、中原慶太に好意を抱き始めた模様。でも恩田耕平は陽気で、中原慶太を訪ねる北海道旅行に参加したいと宣言。このドラマで最も愛すべき人物は実は彼ではないかと思う。