夜王YAOH第二話

TBS金曜ドラマ「夜王〜YAOH〜」。倉科遼井上紀良原作(作&画)。いずみ吉紘渡辺啓脚本。主題歌=TOKIO「Mr.Traveling Man」。ホスト監修=零士&大内基。貴島誠一郎チーフプロデューサー。加藤章一プロデューサー。倉貫健二郎演出。ドリマックス・テレビジョン&TBS製作。松岡昌宏主演。第二話。
冷酷非道であることによってしか夢を売ることができない。換言すれば、愛され得ない人間であることによってしか愛され得ない。それが人気アイドルとしての人気ホストの本質に内蔵されるパラドクスであるのかもしれない。そしてそうした清濁を併せ呑んでこそ頂点に立つことができるのかもしれない。新宿歌舞伎町ホストクラブ「ロミオ」のNo.1ホスト聖也(北村一輝)はその道での覇者であるのに対し、異端児の的場遼介(松岡昌宏)は清らかに過ぎる。彼の「青臭い」正義感それ自体は傍観する第三者の無責任な眼には好ましくとも、客にとっては鬱陶しいこと極まりないに相違ない。あれでは誰の眼にも遼介に勝ち目がないと分かる。加納麗美(かたせ梨乃)が云った通り確かに「ホスト失格」だろう。
窮地に立たされた的場遼介を支援し共闘してゆくため、先輩の修(要潤)と新人の夏輝(石垣佑磨)が遼介派を立ち上げた。彼らと同じ寮に住んでいて料理上手な「一匹狼」の売れない中年ホスト、金四郎(佐藤二朗)も加わり、わずか四人とはいえ絶妙の連帯感ある新派が成立した。それぞれに個性あり得意技があるだろうが、中でも修の存在感には注目される。聖也派に属するNo.2の蓮(須賀貴匡)やNo.3の大河(青木伸輔)、No.4の光(忍成修吾)等の連中でさえ修に一目置いていることが、修の秘めた威力の大きさを物語る。ホスト以外では今回ラーメン店主の斉藤慎吾(荒川良々)が遼介のため一肌脱いだが、こうした活躍は今後も色々来るのだろうか。
なお今回の第二話から二人目の脚本家、渡辺啓が参入した。云うまでもなく元グレートチキンパワーズグレチキ渡辺慶のこと。昨年四月一日フジテレビ深夜に放送された森本亮治金子昇出演ドラマ「DANCING★HOST」の脚本家でもあった。二〇〇三年十月、日本テレビ主催「シナリオ登竜門2003」で賞を得て脚本家に転身したのだ。