喰いタンKUI-TAN第五話

日本テレビ土曜ドラマ喰いタンKUI-TAN」。寺沢大介原作。伴一彦脚本。小西康陽音楽。主題歌=B'z「結晶」。次屋尚&山本由緒プロデューサー。和田豊彦&井下倫子協力プロデューサー。アベクカンパニー制作協力。中島悟演出。東山紀之主演。第五話「バレンタインチョコを食いまくる!?」。
今週また九時三十五分以降ドラマが大暴走。犯人の男、深田を追撃する緒方桃警部(京野ことみ)。犯人と警部の死闘。現場に駆け付けた五十嵐修稔刑事(佐野史郎)。勝手に合流した野田涼介(森田剛)と金田一少年=かねだはじめ少年(須賀健太)。緒方桃警部から拳銃を奪った犯人は緒方警部を人質に取った。犯人と五十嵐刑事との銃撃戦の勃発。本気で撃たれ、怯える五十嵐刑事と野田涼介と金田一少年。説得を試みるものの、内容が何故か野田涼介のモテない話に。場違いな言葉が犯人を刺激。そこに遅れて現れた食いしん坊の探偵KUI-TANこと高野聖也(東山紀之)。出水京子(市川実日子)と木下黎(小池里奈)に作ってもらったヴィオロンチェロ型チョコレイトを持ち出して「一緒に食べませんか?」と説得を試みたものの、その胴体部分を撃ち抜かれ、喰いタンの怒りが爆発!食い物を粗末にする奴を許さないKUI-TAN。見事にアクロバット!バク転の連続!金色の箸を取り出した!犯人が発砲!CGの安さが最高!さあ!拳銃の弾丸を箸で捉えてしまうのか!と期待させたが、ギリギリのところで掴み損ね、その流れ弾が五十嵐刑事に中った。戦慄と爆笑の交じる興奮の数分間。毎週のドラマに挿入されるこうした大きな見せ場の存在がこのドラマを引き締める。
同時に、それ以外の部分の「緩さ」がこのドラマの基本的な魅力であるのも云うまでもない。例えば、藤原ツヨシ(法月康平)を尾行するため自転車で颯爽と走った野田涼介と金田一少年。尾行中なのに「たまにはチャリンコもいいよな!キンダイチ」と楽しそうだった野田涼介。或いは、五十嵐修稔刑事が娘の黎と会おうとしない件について真相を知るため、KUI-TAN高野聖也と出水京子と野田涼介が探偵事務所内の茶室に五十嵐刑事を招いた場面。抹茶で接待しつつ事情を聴取した。そのとき室内の床の間に掛かっていた掛幅に書かれていたのが「いただきます」。誰の揮毫か下手な書跡で味わい深い。或いは、出水京子が街の花屋の「イケメン店員」と談笑している現場を見た金田一少年と野田涼介。京子がその店員と交際しているものと勝手に思い込み、野田涼介は激しく嫉妬。嫉妬する野田涼介に金田一少年はイケメン店員の身長の高さを強調。もちろん野田涼介=森田剛の身長の低さ(三宅健の云う「カミングセンチメートル」!)に因んだネタなのだ。野田涼介は出水京子に片想い。身長は出水京子の方が高い。「君を見上げて」状態に他ならない。そういえば中学三年生の藤原ツヨシよりも小柄だった。で、最後にドラマを締めたのはKUI-TAN高野聖也の名言「ピュアなチョコレイト程、苦いもんです。そう、人生のように」。