夜王YAOH第七話

TBS金曜ドラマ「夜王YAOH」。倉科遼井上紀良原作(作&画)。いずみ吉紘脚本。主題歌=TOKIO「Mr.Traveling Man」。ホスト監修=零士&大内基。貴島誠一郎チーフプロデューサー。加藤章一プロデューサー。酒井聖博演出。ドリマックス・テレビジョン&TBS製作。松岡昌宏主演。第七話。
極めて気合の入った物語だった。先週の第六話における危機と苦難の連続が今週の第七話において極点に達しつつも次々乗り越えられて終結し、やがて始まる新たな段階を準備した。ことに加納麗美(かたせ梨乃)が遺してくれた麗美ブランド最初で最後の紳士服を着て的場遼介(松岡昌宏)が新宿歌舞伎町ホストクラブ「ロミオ」に久々に出勤し、「麗美を陰で支えたホスト」に会いたくて来店し遼介を指名した大勢の客のために名乗りを上げた瞬間、流石に感動を禁じ得なかった。
また、女優かたせ梨乃の演技に感動した。麗美の逝くときの顔が本当に亡くなりつつある人の顔に見えた。
遼介の不在の間、「遼介派」の修(要潤)と夏輝(石垣佑磨)と金四郎(佐藤二朗)がどこまでも遼介を信じて留守を守っていたのがよかったが、他方、「聖也派」には小さな激動があった。No.1ホストの聖也(北村一輝)が右腕としてはNo.4の光(忍成修吾)を誰よりも信用していることが判明したからだ。それに気付いてNo.2の蓮(須賀貴匡)やNo.3大河(青木伸輔)は動揺していた。聖也の真髄を理解している真の腹心が蓮や大河ではなく光に相違ないことは前回の話でも既に見えていた。彼に比較するとき蓮には良識や情があり、大河には弱さがあるのだ。エリートたちの見せるそうした個性が今後どのような行動に繋がってゆくのか?それが物語の行く末の決め手となるのだろう。
それにしても、「ジュリアン」社長の岡崎(岩城滉一)の依頼で「ロミオ」の妨害を続けていた揚羽ママ(佐田真由美)に対する聖也派の反撃は実に奇策であり痛快だったが、それ以上に驚かされたのはオーナーの矢島輝彦(内藤剛志)が最終手段に出たこと。彼は夜の世界で天下を取った男なのだ。それは闇の世界とも上手く付き合ってゆくことを伴うのだろうか。