氷壁最終回

NHK土曜ドラマ氷壁」。井上靖原案。前川洋一脚本。村松崇継音楽。主題歌=リベラ「彼方の光」。佐野元彦&青木信也チーフ・プロデューサー。長沖渉演出。玉木宏主演。第六話=最終回。
北沢彰(山本太郎)の遺体が発見され、携帯されていた登頂日記中に遺書に相当する記事が発見されたことで死因が自殺だったことが判明。結局のところ八代哲夫(石坂浩二)と八代智之(武田真治)が全面的に正しく、奥寺恭平(玉木宏)が全面的に間違っていたわけだ。多くの人々を傷付け、多大の損害をもたらした上に世間を騒がせた奥寺の罪は深刻だが、八代哲夫は謝罪文の公表だけを要求し、あとは咎めようとはしなかった。そればかりか、八代哲夫の精神と名誉を徹底的に傷付け、奥寺との不倫に走った淫らな八代美那子(鶴田真由)をも、彼は何事もなかったかのように受け容れたのだ。何という大度量。だが、何という結末だろうか。最終回まで見終えて空しさを禁じ得なかったことにおいて空前絶後の作品だったと思う。欠陥問題はどこに消えたのか。組織的な隠蔽の問題を描かなかったのはNHKが権力者の犬であることを物語るのか。前半は面白かったのに最後は正真正銘の駄作に終わった。