功名が辻第四十六話

NHK大河ドラマ功名が辻」。原作:司馬遼太郎。脚本:大石静。主演:仲間由紀恵上川隆也。第四十六回「土佐二十万石」。
山内一豊上川隆也)の生涯における暗黒面をどう描くのか?という大問題を、脚本家の大石静は実に大胆な仕方で解決してみせた。先ずは彼に強硬な姿勢を取らせたのが徳川家康西田敏行)の厳命だったことを仮定した。東照神君家康には相応しくない命令ではあるが、ともかくも何らかの深遠な意図あってそうした命令が下されたのだったと想定すれば、山内一豊も従わざるを得なかったには相違ないと首肯できよう。次いで、土佐入国後の山内家の政策をさらに強硬な、攻撃的なものにしたのが全て六平太(香川照之)の提案だったことを仮定した。六平太は千代(仲間由紀恵)の幼時からの友ではあっても山内家の家臣ではなかったから、旧来の家臣団とは異質な思想を抱いていたとしても不思議ではないし、何より彼は架空の人物なのだから史実の隙間の謎の箇所を埋め合わせるためのどんな役割をも担い得る立場にあるのも確かだ。このドラマの真の主人公は六平太に他ならない。
ところで、神君家康が井伊直政篠井英介)の名を何度も繰り返していたのは寵愛を表現していたのだろうか。祖父江新一郎(浜田学)を従えた山内康豊玉木宏)の土佐入国は驚く程に少人数で無防備に見えた。