花より男子2第九話

TBS系。金曜ドラマ花より男子2」。第九話。
原作:神尾葉子集英社マーガレットコミックス)。脚本:サタケミキオ。音楽:山下康介。主題歌:嵐「Love so sweet」(J STORM)。制作:TBSテレビ。演出:石井康晴
道明寺家に六十年間も仕えてきた使用人頭タマ(佐々木すみ江)は邸内の居室で牧野つくし(井上真央)に命じた。道明寺楓(加賀まりこ)が何を仕掛けてこようとも屈することなく、道明寺家に居座り続けよ!と。しかし結局、牧野つくしは道明寺司松本潤)に別れを告げた。雨の中、彼を傷付ける言を心にもなく発して。それが本心に反する決別の辞であることを解するタマは、傘を差して牧野つくしの許に駆け寄り、怒り、問いかけ、泣いた。
道明寺司に対する西門総二郎(松田翔太)の真剣な怒りは彼の友情の深さ、熱さを物語るが、花沢類(小栗旬)の、あたかも傍観者であるかのような冷静な態度は、彼が道明寺司と牧野つくしの二人をどこまでも信じていることを物語るだろう。
道明寺楓は意地になっているとしか思えない。冷静ではない。経営者として失格だろう。大河原滋(加藤夏希)と道明寺司との政略結婚が破談したことに因る大河原財閥との合併の解消は、確かに道明寺財閥にとっては致命的な大打撃だったに相違ない。だが、今さら道明寺司と牧野つくしとの恋愛を妨害したところで合併の話が再浮上するわけでもないだろうし、道明寺財閥の経営が好転するわけでもないだろう。どう考えても道明寺楓が今やっていることは無意味だ。それどころか道明寺財閥の危機を徒に世に喧伝したことで自らをさらに追い詰めたばかりか社会全体にまで不安を与えてしまったのだから、無益を通り越して有害でさえあるだろう。巨大な財閥を率いる器ではないと云わざるを得ない。
道明寺司は自身のこれまでの傲慢な自信が実は大財閥の御曹司であることに甘えていただけのものではなかったかと自問したが、その問いはむしろ道明寺楓にこそ必要だ。経営者として抱える問題と家庭生活における私的な問題とを混同するのは賢明ではない。