わたしたちの教科書第三話

フジテレビ系。ドラマ「わたしたちの教科書」。第三話。
脚本:坂元裕二。音楽:岩代太郎。主題歌:BONNIE PINK「Water Me」(ワーナーミュージックジャパン)。プロデューサー:鈴木吉弘&菊地裕幸。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:葉山浩樹。
このドラマの主な舞台、喜里丘中学校の職員室は病んでいるのだろうか?確かに病んでいるかもしれないが、その原因が病んだ生徒たちの病んだ親たちと、政治権力との間の板挟みの状況にこそあるのは明白だ。劇中の学校の病因がそうであるだけではなく、現実の学校もそうなのだろうと推察される。教育委員会=役所が病んでいるのはそれが民主的な代表者や言論の横暴に対し手も脚も出せない弱い組織だからに他ならない。それだからそれらは無謬性を演じ続けなければならない。しかし無謬性はあり得ない。あり得ないことを演じることが致命的な無理を生じているのだ。役所と学校が己の誤り易さを認めることができて、その意味においてもっと毅然とした姿勢を貫けるのであれば、学校の荒廃も少しは防ぎ得たのではないだろうか。市民が主役だとか消費者が主権者だとか云い張って、「客は神である」とでも云いたいのか、どんな我侭でも通ってしまうような社会を作り上げた当代、まともな公教育が成立し得るはずがない。こうした教育の不可能性の問題をこのドラマが確と描き得たなら大絶賛を贈らなければならないだろう。