わたしたちの教科書第九話

フジテレビ系。ドラマ「わたしたちの教科書」。第九話。
脚本:坂元裕二。音楽:岩代太郎。主題歌:BONNIE PINK「Water Me」(ワーナーミュージックジャパン)。プロデューサー:鈴木吉弘&菊地裕幸。制作:フジテレビドラマ制作センター。演出:西坂瑞城。
喜里丘中学校の副校長、雨木真澄(風吹ジュン)が隠蔽してきた事実が明るみに出された。雨木副校長=瀬里直之(谷原章介)の側に有利な証言をするため法廷に立っていた熊沢茂市(佐藤二朗)が、己の良心に反して胸中に秘してきた忌まわしい事実を、積木珠子(菅野美穂)に導かれるまま全て明らかにし、法廷において謝罪したのだ。校内にあって校内の問題に疑問を抱き続けていた人物=「ジョーカー」が誰であるのかを探っていた戸板篤彦(大倉孝二)が、意外にも熊沢こそが当の「ジョーカー」だったらしいと気付いて裁判所に駆けてきてからの展開には手に汗握る興奮度の高さがあった。本心を秘めて無気力な教師を演じてきた熊沢に対し、己の本心に誠実であるよう必死に諭した積木珠子と、それを止めさせようとした瀬里直之、瀬里の要求を却下し珠子に続けさせた裁判長(矢島健一)、涙を流しながら全ての事実と思いを告白した熊沢茂市。そして、己の罪の数々を暴露されて気を失いそうな程に絶望していた雨木副校長、真相を知って驚き慌てていた大城早紀(真木よう子)。全てを打ち砕かれ打ちのめされたかのようだった加地耕平(伊藤淳史)。それぞれの情念、それぞれの人生が交錯するかのような濃厚な瞬間が描かれたと云えるだろう。そして、強大な権力といえども人の心までは支配できないという真理が、この今宵の話の基底にあるだろう。