ホタルノヒカリ第八話

日本テレビ系。水曜ドラマ「ホタルノヒカリ」。
原作:ひうらさとるホタルノヒカリ」(講談社)。脚本:水橋文美江。音楽:菅野祐悟。主題歌:aiko「横顔」。プロデューサー:櫨山裕子&内山雅博&三上絵里子。制作協力:オフィスクレッシェンド。演出:久保田充。第八話。
雨宮蛍(綾瀬はるか)のジャージ姿を見たとき、手嶋マコト(加藤和樹)が怖い顔で見詰めたあと決別するかのように走り去ったのは何故だろうか。干物女としての本性を目の当たりにして流石に怖気付いたとでも云うのだろうか。
多分そうではない。注意すべきは、「アホ宮」こと雨宮の破れて穴の開いて染み付いて汚れた古いジャージのことを、SWビルドコーポレーションのインテリア事業部の会議室で、部内の男子社員だけ集まっての昼食会の際、部長=高野誠一(藤木直人)が「知人」の女のこととして話題にしていたことだ。その話を聞いた者は皆、部長の語るジャージの女というのが、部長の私生活における極めて親密な女であるだろうこと、仮に妻でなければ恐らくは交際中の女であるだろうことを感じた。たとえ部長がそれを否定し、単なる「知人」に過ぎないと釈明しようとも、部下たちは必ずしもそうは受け取らなかったろうと想像できる。手嶋もそうだったかもしれない。しかるに今、手嶋の目の前には、あのとき会議室で部長の語っていた通りの変なジャージを着た女がいて、しかもそれが手嶋と交際中であるはずの雨宮で、しかも高野部長と極めて親密な様子だったのだ。手を繋いで一緒に走っていたり、部長が自身の上着を脱いで雨宮に着せようとしていたり、仲よく喧嘩をしていたり。この、仲のよさそうな喧嘩というのも重要な点であるかもしれない。なぜなら雨宮と手嶋の間には今なお互いに遠慮し合うようなところがあるからだ。