仮面ライダー電王第三十一話

テレビ朝日系。「仮面ライダー電王」。第三十一話「愛・ニード・侑」。
冒頭から見応えがあった。変身できない桜井侑斗(中村優一)。彼を必死に守りつつ、同時に敵と闘おうとするデネブ(声:大塚芳忠)。侑斗に残された変身用カードは一枚だけ。眼前には強暴な兎イマジンがいて、それと契約した一人の人間(今井靖彦)が殺害されようとしていた。その人が落命したとき兎イマジンは契約の相手を失うことになるだろうが、侑斗にとっては、たとえ契約それ自体が消滅することになろうとも、それ以前にその人の生命が救われなければならないのだ。一枚しかないカードを、ここで使うしかない!と侑斗が決意した瞬間、野上良太郎佐藤健)が到着した。彼の協力者はキンタロス(声:てらそままさき)。持前の怪力で被害者を救出したキンタロスの「カードは取っとき!」の一言は、そのあとの、兎イマジンとの激しい戦闘における彼の勇ましさ以上に頼もしかった。
そして野上愛理(松本若菜)の危機。かつて愛理に魅了され、求愛しようとしていた大勢の男子の一人、藤代裕也(青木伸輔)が、今や悪徳金融業の社長となっていて、そして愛理の婚約者=「桜井侑斗」が行方不明となったのを受けて改めて愛理の前に現れ、金の力で愛理を我がものにしようと謀ったのだ。藤代によれば「桜井侑斗」は「天文バカ」で、貧乏で、藤代や愛理よりも年上なのにガキみたいなところがあって、それでいて、多くの求愛者たちがどんなに努力しても少しも捉えることのできなかった愛理の心を、直ぐに捉えてしまったと云う。そして「桜井侑斗」がいなくなった今でも藤代は「桜井侑斗」には勝てないと自覚しているようだ。だから卑劣な作戦に出たわけだろう。
愛理を救出するため走る桜井侑斗。侑斗に嫉妬し、憎しみながらも愛理のため、侑斗に協力することを約束し、アリtoキリギリス二体イマジン相手に無謀な戦いを続け、不意打ちを喰らい倒されたリュウタロス(声:鈴村健一)。異常な非常事態にも動じることなく藤代の酷い求愛を拒絶した愛理の強さ。物語が一気に加速し始めて実に熱かった。
そうした中でも、愛理のため少しでも役立つべく、なけなしの金を出そうとした尾崎正義(永田彬[RUN&GUN])&三浦イッセー(上野亮)コンビは、どんな非常事態に直面しようとも超人的な対応なんか取り得るはずもない普通の人間の行動を(変人なりに)示していて、やはり面白かった。