水曜ドラマ働きマン第三話

日本テレビ系。水曜ドラマ「働きマン」。
原作:安野モヨコ。脚本:吉田智子。主題歌:UVERworld浮世CROSSING」。演出:佐久間紀佳。第三話。
このドラマの原作を読んだことはないが、このドラマ自体をここまで見て現時点で感じ得たこと。それは、主人公の松方弘子(菅野美穂)を通して作中に描かれつつあるのが、世に理想化されてきた「働く女」の像ではなく、むしろ世に「働く女」の障害物として想定され攻撃されがちだった「男社会」の側の正義ではないのか?ということだ。先週ここに書いたように、第二話において「男社会」の正義を体現していたのは、周囲の男女から「女を武器にしている」と陰口を叩かれながらも実は「男社会」に上手く溶け込みながら男以上の努力を続けてきた野川由実(釈由美子)でこそあれ、断じて「働きマン」と称される松方弘子の側ではなかった。これに対し今週の第三話においては一転、ケチな現実と妥協して地味に働き続ける松方弘子が「男」の論理を体現していて、そうした安い妥協を潔しとしない若い田中邦夫(速水もこみち)がそれに対置されていたと云える。そして彼等の上司であるデスク=成田君男(沢村一樹)や編集長=梅宮龍彦(伊武雅刀)に代わって松方弘子が田中邦夫に与えた激しい叱責は、現今の奇妙に不平等な「平等主義」の不条理に対するフィクションならではの反発に他ならない。