働きマン第八話

日本テレビ系。水曜ドラマ「働きマン」。
原作:安野モヨコ。脚本:吉田智子。主題歌:UVERworld浮世CROSSING」&働木満(沢村一樹)「働きマン音頭」。演出:佐久間紀佳。第八話。
渚マユ(平山あや)が松方弘子(菅野美穂)について「本当は誰よりも女らしい」と評したのは確かに正しいと思われる。この「誰よりも」という点は殆ど狂気をも含意しているだろう。松方弘子は、真剣に猛烈に仕事に没頭するときには「男モード」へ切り替わり、働く男=「働きマン」へ変身しなければならぬと思い込んでいる。これは一昔前の男社会の、女を女であるという理由だけで無条件に無能と認定するような考え方そのものであり、男らしさの正反対として女らしさがあるとすれば、この「働きマン」は当たり前のようにそう考えている時点で(「男らしさ」を裏返して己の信念、人生の指針にまでしているという意味において)極めて「女らしい」と云うべきなのだ。
これに対して菅原文哉(津田寛治)には男らしさの極みのようなところがあり、松方弘子との間には正反対の面と、そのゆえに意気投合できる面との両面があるのが面白い。他方、田中邦男(速水もこみち)は別に男らしくもなく女でもなく、ゆえに何れのようでもあり得るかもしれない。彼が仕事に没頭していたとしても、それを「働きマン」と形容するのは恐らくは正しくない。働きマンになるまでもなく存分に働けるに相違ない。