仮面ライダーキバ第一話

テレビ朝日系。「仮面ライダーキバ」。井上敏樹脚本。田粼竜太演出。第一回「運命・ウェイクアップ!」。
石ノ森章太郎生誕七十年記念と銘打っている。第一話ということで謎めいた物語の始まり。謎の出現は常に、隠れた意味の深さを予期させる。というか超高層ビルの中から出現した龍みたい奴の意味が全く解らなかったが、謎めいた始まりの一要素ということで今後の解明に期待。
冒頭の、基督教会の聖堂のステインドグラスに教会音楽風のオルガン音楽が調和して、謎めいた雰囲気を増幅させたが、次週以降も古いヨーロッパ風の雰囲気を醸し出してゆくのだろうか。
舞台は二〇〇八年の東京だが、話は二十二年前、一九八六年から始まる。現在の話の主人公が紅渡(瀬戸康史D-BOYS])で、過去の話の主人公が紅渡の父、紅音也(武田航平PureBOYS])。
紅渡は、父から受け継いだヴァイオリンが敵の出現を察知して音を響かせるのを聴くや、急に性格が変化するようだ。敵との戦いを前にしたとき、外界への嫌悪感のことを忘れることができるらしい。目覚めるということなのか。
紅音也は、戦闘の只中にあって逃げる敵を追跡しようとした麻生ゆり(高橋優)の腕を掴み、口説き始めた。しかし麻生ゆりはそれを拒否し、なかなか引き下がろうとしない音也の顔を手で掴んで押さえ付けて退けた。麻生の手が大きいのか、音也の顔が小さいのか。あの瞬間、音也が爆笑問題田中裕二に見えた。振り回され、振り払われて、少し投げ飛ばされたような感じの動作になっていたのが味わい深かった。
紅音也は、堅気ではなさそうな変な柄のスーツを着ていて、見知らぬ女を執拗に口説き始める行動も含め、いかにも軽薄で軟弱な感じに見えた。その印象は音也を演じる武田航平の最近の路線そのままのようにも思えてしまう。だが、五六年前の、「CCレモン」CMで相武紗季と爽やかに共演したり、フジテレビ土曜の早朝の番組「スポナビZ」で司会者としてスポーツに打ち込んでいる子どもたちを爽やかに応援したりしていた清潔感に満ちたジュノンボーイとしての彼を記憶している者にとっては、現在の路線自体が別人のように見えるのも正直なところ。というか、紅音也の活躍していた一九八六年というのは武田航平の生まれた年ではないか。