NHK一期一会における半田健人

NHK教育。「一期一会 キミに聞きたい!」。「変身したい話@俳優 半田健人×20歳無職」と題して、昭和文化研究家の二十三歳、兵庫生、キムタク風の男前、半田健人が同年代の同郷人とも云える兵庫在住の無職の二十歳、佐藤夢也と語り合った。と云うか、実際には半田健人が引き籠り気味の夢也を「変身」させるべく色々な話をして色々な場所へ連れて行って激励した三日間の記録だった。
しかし半田健人は本当は何歳なのだろうか。云うことが一々確りしていて説得力があって、内容だけを聞いていると四十歳位の豊かな人生経験に裏打ちされているような気がしてきた。頼り甲斐のある大人と云うか。とても若者とは思えなかった。でも見た目は間違いなく二十三歳の若者なのだ。…と云いたいところだが、実のところ、美形は老けて見えるという一般論に違わず彼もまた二十歳にも三十歳にも見えるような雰囲気がある。顔も中身も確りし過ぎている。木村拓哉三十五歳よりも大人に思われた。恐るべき二十三歳。
印象深かったのは、最終日、夢也を激励する半田健人が、「比べちゃいかんわ。やっぱり。自分は自分。比べ出すとね、オレも、何か今、自信満々にしゃべってるように見えるかもしれんけど、比べたら、そら、不安なこと一杯あるよ。そこは、敢えて目を背けるっていうかな。背けることによって伸びることってあるから。」と云ったところ。ここは今宵のこの番組で唯一、半田健人が少し弱音を吐露してみせた瞬間だった。若手俳優たち数多いる中で「昭和歌謡と高層建築に詳しい男」という前人未到の境地を開拓してしまった彼も、俳優として、芸能人として、彼なりに不安に思うことは色々あるのかもしれない。そうした思いをも抱きつつ、眼前の青年の表情を確と見詰めながら語りかけ続けた半田健人は、思っていた以上の男前だった。