渡る世間は鬼ばかり第二十四話

TBS系。橋田寿賀子ドラマ「橋田寿賀子ドラマ渡る世間は鬼ばかり」。
作(脚本):橋田寿賀子。音楽:羽田健太郎。ナレーション:石坂浩二。演出:荒井光明。プロデューサー:石井ふく子。第九部第二十四話。
料理道に何等の技術も経験も興味もない身でありながら厚かましくも、料理店「おかくら」の後継者として、その店主の岡倉大吉(宇津井健)の娘であるというだけの理由で勝手に名乗りを上げている本間長子(藤田朋子)が救いようもない程の愚か者であるということは今さら取り消しようもない史実ではあるが、そうした長子に、神林常子(京唄子)の長男の嫁であるというだけの理由で常子の介護の全てを任せておきながら「赤の他人に任せなければならないなんて悔しい!」と嘆いてみせることで己を正当化し常子の機嫌を取ろうとする常子長女の本間由紀(小林綾子)は生きる価値もない程の愚か者であり卑しいと批判されて然るべきだ。恐らく橋田寿賀子としては、視聴者の間に長子に対する同情を少しでも惹起するため、敢えて長子をも凌ぐ水準の悪者を出しておきたかったのだろうが、結果としては、単に悪者二人が対立しているのを描いただけに終わっていると云わざるを得ない。