炎神戦隊ゴーオンジャーGP41

東映炎神戦隊ゴーオンジャー」。
第四十一話「育児ノススメ」。宮下隼一脚本。加藤弘之監督。
蛮機族ガイアークが人間界への攻撃のため嵐界=「ストーミーワールド」から取り寄せようとして途中で見失ってしまったワメイクル(声:坂本千夏)の卵を、偶々拾い上げて孵化させてしまったゴーオンゴールド須塔大翔(徳山秀典)が、この異形の赤子の育児に奮闘するの一話。それが「育児ノススメ」と題されているのは実に話の趣旨を端的に表現し得ていよう。なぜなら描かれるのは異形の赤子ワメイクルの成長ではなく、ワメイクルに平安と満足と成長を与えるべく試行錯誤して奮闘する大翔の変化だからだ。幼い者や愛らしい者への慈しみとは無縁に生きている知的な戦士の彼が、赤子への接し方をよくは知らないまま生まれたばかりのワメイクルに接し、やがてその子が何を喜び、何を望んでいるかを発見し、ついにはその鳴き声にその感情を聞き分けるようにさえなってゆく過程が、驚くべく丁寧に描かれていたと思う。
子育てを既に経験した人々がこの話をどう見たかを知らないが、子育てを未だ知らない(そして今後も知る予定もない)者にとっては、なるほど子育てとは斯かるものか!と感心させられた面さえもあったと云うも過言ではない。
ワメイクルの主食は野菜。野菜ばかりを大量に食う。ミルクもパンもハムも食わない。それを見ていたゴーオンレッド江角走輔(古原靖久)は「俺には無理だな」と云ったが、ゴーオンジャーの母親役のゴーオンブルー香坂連(片岡信和)は「見習った方がいい」と応じた。走輔は野菜を余り好きではないのか、できれば野菜よりも肉を存分に食いたいと欲求しているのだ。そういえば最近の若手男子俳優や男子アイドルには肉好き野菜嫌いの人が多いような気がするが(五輪で銀メダルを受賞した男子体操選手の内村航平のような、本来なら人一倍食生活に気をつけなければならないはずの人でさえ、野菜を食わずチョコレイト「ブラックサンダー」を主食にするような時代)、なるほど古風な頑固親父風の走輔もああ見えてイマドキの男子なのだ。
そんな走輔に、野菜を沢山食うことも育ち盛りの若者には必要!と優しく説教する連は流石に立派な母親役だと云えるが、不図ここで冷静になって、果たしてゴーオンジャーの日常の食生活において沢山の肉が出されることがあるのだろうか?と考えてしまう。そうすると、本当は肉を存分に食いたいのを食わせてもらえなくとも必死に我慢して、野菜と玉子を中心とする食生活に甘んじている走輔の様子が想像されてきて、何となく気の毒にもなってくる。