ハンチョウ神南署安積班第二話

TBS系。ドラマ「ハンチョウ 神南署安積班」。第二話。
原作:今野徹。脚本:奥村俊雄。演出:和田旭。
警視庁神南警察署刑事課強行犯係の巡査部長、須田三郎(塚地武雅)は、自身の発した「法律は人間が作った。だから万能じゃない。でも、刑事が法を疑ったら御仕舞いだ。」という言を自画自賛していたが、なるほど、今宵のこのドラマの最後に置かれるとき彼のこの言は何かしら深遠に響く。なぜなら今宵の話においては、全ての国民に対して平等であるべき法が実際には平等でもなければ公平でもないということの不条理を、二重に描いていたと見られるからだ。
先ず(一)現代の法は、亡くなった被害者よりも生きている加害者を優遇する場合があるということがある。そうなれば被害者の遺族の感情は踏みにじられかねない。仇討は今日の法においては禁じられているにもかかわらず藤崎洋一(河原崎建三)やリサ(星野真里)が仇討を企てたのは、法を信じることができなかったからだ。
もう一つの不条理として、(二)有力者には様々な安全保障があるということがある。今宵の話における真の犯罪者、高野哲雄(松田悟志)が「法曹界の重鎮」の子息であることは、警察の捜査にも少なからず影響を及ぼしていたと見てよい。もちろん弁護士の中には弱者の味方を標榜する者もいるだろうが、中には強者を助け弱者を挫く役割を専らにする者もいるだろう。法律それ自体にも欠点はあるだろうが、それを運用するのが人間である以上、公平なものとして読めるはずの規定をも不公平なものとして機能させることもできる。法の番人としての警察権力といえども、常に信用してよいかどうか定かではないのだ。
そう考えるなら、須田巡査部長の「刑事が法を疑ったら御仕舞いだ。」という言は、「法の下の平等」を信じ、公正、公平に法を執行してゆかなければならない!という信念の表明として解することができる。深遠な言に相違ない。
神南署刑事課強行犯係の刑事、村雨秋彦(中村俊介)が寸分の隙もない二枚目風の性格の人物であるのは、演じる中村俊介の寸分の隙もない美形の顔によく合っている。桜井太一郎(山口翔悟)は、班長等上司たちに連れられて行く料理店「和食処 磯樽」における夕食での、丼みたいな大きさの木製の碗を片手に只管に食う姿が一寸よい感じだった。