旅行記一京都国立近代美術館京都学展

朝五時半頃に外出。六時十四分にJR松山駅を発って岡山駅を経由して十時半頃に京都駅へ到着。四条河原町にあるホテルへ荷物だけ預けて岡崎公園へ。京都国立近代美術館で開催中の「京都学 前衛都市 モダニズムの京都展1895-1930」を昼一時前まで観照したあと、一時から夕方五時までの間、シンポジウム「ひとつの京都学 美術・工芸・建築・都市」を聴講。
今回の展覧会場には、明治二十八年に岡崎公園で開催された第四回内国勧業博覧会パヴィリオンとしての縮小復元の平安京大極殿(現在の平安神宮)や、その五年前に竣工していた琵琶湖疏水をめぐる各種の史料等が展示されていて極めて興味深いが、中で味わい深く思われたのは、京都洋画界の先覚と云うべき田村宗立が薩摩出身の黒田清輝を脇役に従えていること。序に云えば、京都日本画壇の個性派である谷口香きょう(山喬)も、同門の巨匠である竹内栖鳳ばかりか東京美術学校狩野芳崖をも脇役にしていると見ることができる。聞けば、これらは企画者側が敢えて意図して行ったところだったらしい。日本の近代美術に関する教科書風の史観に対して異論を唱えるものと云えるが、確かに、田村宗立が日本における洋風美術の摂取に関して果たした役割の大きさは東京美術学校から京都高等工芸学校へ転じた浅井忠の説くところであるし、京都には稀な歴史画家としても知られる谷口香きょう(山喬)が京都美術協会の機関紙編集者として京都の伝統工芸の近代化のために果たした役割も小さくないはずなのだ。
館を出て、徒歩で四条河原町へ。この周辺を散歩すれば派手な若者たちの多さに圧倒される。八時半頃にホテルへ入った。