オトメン(乙男)第三話

フジテレビ系。土曜ドラマオトメン(乙男)〜夏〜」。第三話。
原作:菅野文。脚本:野口照夫。演出:阿部雅和。
盂蘭盆ということで幽霊の話。学校の怪談風の演出が多用されて夜中に一人で見ていると実に怖かったが、やはり見所は正宗飛鳥(岡田将生)と橘充太(佐野和真)との遣り取り。橘が「飛鳥ちゃん」に付きまとうのは、生業にしている少女マンガの主人公のモデルを彼に求めているからに他ならないが、単に視覚上の効果だけで云えば、飛鳥と都塚りょう(夏帆)との関係よりも彼等二人の関係こそがエロティクに見えてしまう。強気な口調で飛鳥を惑わす調子者の橘と、頼りない態度で振り回される飛鳥との対比の鮮やかさが、そのように見えてしまう。他方、夜の校舎内、伝説の女子の幽霊の出現に驚き怯えた彼等二人が抱き合って悲鳴を上げていたのも、それとは別の意味でエロティクにも見えて面白かった。
剣道部の夏の合宿ということで飛鳥の入浴場面があり、裸の後姿が映ったときには一瞬は興奮してしまった。
このドラマにおける岡田将生の「飛鳥ちゃん」がどうしてあんなにも美麗であるのか?と考えるなら、素材としての岡田将生ならではの美を別にすれば、やはり人物像が「オトメン」であるからだと解するのが正解であるように思われる。「オトメン」に関しては、「男子であるのに内面が乙女である」と見られがちだろうが、むしろ「内面が乙女であってもあくまでも男子である」と見る方が魅力の本質を解し易いのではないだろうか。まるで乙女のようだからよいのではなく、乙女のようでありながらもあくまでも男子であるからよいのだ。外見も内面も全てが乙女であっては魅力も半減だろう。普段の(もちろん劇中の)言動におけるあの侍のような古風な男らしさがあってこその魅力であるに違いない。