仮面ライダーW(ダブル)第二話

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第二話「Wの検索/街を泣かせるもの」。脚本:三条陸。監督:田崎竜太
先週の第一話を見た時点で既に期待できそうな気がしていたが、第二話を見てさらに期待してよいに違いないと思った。一つ欠点を挙げるとすればCGが少々急拵えかと見えたこと位だろうか。主人公をはじめとする登場人物の魅力がそれを補ってくれていると思うので特には気にしない。
主人公の、「ハードボイルド」を気取ってはいるものの現実には「ハーフボイルド」(半熟)止まりの探偵青年、左翔太郎(桐山漣)の「ハードボイルド」に関する設定には、思いのほか重層性がある。
街を愛する生来の人情家である所為で「ハードボイルド」にはなり切れない…というのは彼自身の持前の魅力でもあって、多分、彼の相棒フィリップ(菅田将暉)はそのことをよく知っている。他方、周囲が「ハードボイルド」を認めてくれていないという面もある。探偵事務所長だった「おやっさん」の一人娘の鳴海亜樹子(山本ひかる)だけではなく、彼の昔馴染みの友人知人たちもそうなのだ。情報屋は彼の時代錯誤を馬鹿にしている。彼の少年時代の友の一人だった今回の事件の依頼人も、人情家の「翔ちゃん」であれば旧友の罪を見逃してくれるに違いないと期待していて、それゆえに彼が人情よりも正義を選んだ事実に驚いていたのだ。
事件の真相を自ら見抜きながらも認めたくはなかった左翔太郎が、フィリップの探索の結果によって己の推理が当たっていたことを思い知らされて苦悩しつつも、敢えて自ら決意して、旧友であり依頼人であり真犯人でもある津村真里奈(山内明日)と対峙して事件の真相を突き付け、罪を数えて悔い改めるよう求めた場面には、正義のために「ハードボイルド」に徹しようとする男子の意地を感じた。なかなか味わいのあるよいドラマではないか。
基本的には探偵事務所から一歩も外に出ないかと見えたフィリップが今週の第二話では相棒の左翔太郎を救出し共闘するため外出してきて、そして二人並んで仮面ライダーWに変身した。二人並んでの変身というのは恰好よい。待望の画ではあったが、フィリップの場合、変身すると翔太郎と一体化してしまうのと同時に自身の身体を抜け殻にしてしまう。今日の話の場合はそれがフィリップの身体の安全を確保するため逃げ回る鳴海亜樹子という見せ場を作ったが、毎回これをやるわけにはゆかないだろうし、二人並んでの変身というのは第二話ならではの御祝儀で、当分はないのだろう。
今週の第二話には、話の面白さ以外でも、二つの点で驚いた。
一つ目は、主人公の左翔太郎の少年時代を演じるのが、あの美童の子役、嘉数一星だったこと。今年の四月から六月にかけて放送された日本テレビの水曜ドラマ「アイシテル 海容」において野口さつき(稲森いずみ)の長男、智也を印象深く演じていた美少年に他ならない。“「アイシテル」における「きよたん」ではない方”と云ってもよいかもしれない。嘉数一星の顔立ちや雰囲気は、桐山漣よりは松坂桃李に近いような気がするが、何れにせよ、街を守るヒーローに憧れる少年男子の配役としては申し分ない。
もう一つは、云うまでもなく須藤霧彦(君沢ユウキ)の美麗な全裸。
園咲琉兵衛(寺田農)の率いる悪の組織の居城(その外観のみは東京国立博物館本館)にあるステインドグラスの光に照らされた大広間での儀式において、霧彦は、自身が園咲家に新たな一員として迎え入れられるに相応しい人物であること(「自慢の婿の誕生」)を証明すべく、全裸になって自身の容姿の全てを披露しつつ、よく引き締まった筋肉質の裸の腹に、仮面ライダー風の変身ベルトを直に装着して、何かに変身してみせようとしていた。テレヴィ画面上、身体の前面は(当然のことながら)上半身しか映らなかったが、背面は全身像が映って、いかにも筋力のしなやかさを感じさせるそのフォルムが美麗だった。肩と背から腰にかけて逆三角形に直線的に細く絞り込まれたあと尻と腿で曲線的に山をなしていて、引き締まった男らしさと柔らかなヴォリューム感の作る優美な形姿には見入った。ちなみに、演じている君沢ユウキの公式ブログ(http://ameblo.jp/yuki-kimisawa/)で彼自身が「裸体俳優」と自称して面白がっているのも面白い。