男子を品定めする番組

TBS系「テイク・ミー・アウト(Take Me Out)」は、十月からの同題の新番組の宣伝を兼ねた一時間半の特別番組。その内容について、テレヴィ雑誌の番組表には「30人の女性芸能人がイケメン男性芸能人を本気で品定め!?」とあるが、もちろん「本気」ではないだろう。登場した「イケメン男性芸能人」中には「芸能人」ではない人もいたが、実のところ芸能人ならぬ美容師(「ヘアクリエイター」或いは「カリスマ美容師」)の前原穂高が最も美形だったのではないだろうか。
他方、痛々しかったのは「特捜戦隊デカレンジャー」のデカレッド役で活躍した「イケメン俳優」載寧龍二。自信満々の自己主張と「逆ギレ」言動が女性陣の反感を買うことを予想できなかったのだろうか。もちろん女性陣の言いたい放題の発言も痛くて鬱陶しいものだったには違いないが、そもそも女性陣に男の「品定め」をさせて言いたい放題をさせるというのが番組それ自体の趣旨であるわけだから、ここでは男女は平等ではなく女性優位であり、ゆえに男子の側が言いたいことを言って反論しても生憎「おたがいさま」ということにはしてもらえない設定の場だったのだ。教訓として云えることは、売り出し中の若手「イケメン俳優」にとっては余程の勝算がない限り決して出演してはならない番組であるということだろうか。
載寧龍二が全然モテなかったばかりか大ブーイングまでも喰らったのとは対照的に、ケンドーコバヤシは予想外のモテモテ状態だった。何となく納得の結果ではあるが、同時にこのことがこの番組の本質をよく物語ると見てもよいかもしれない。「女性芸能人」側の選択として、若手俳優なんかと下手に絡んで痛手を負うよりは、百戦錬磨の中堅芸人と上手いこと絡んで己の魅力を引き出してもらう方が得策であるのは明白だ。と云うか、出演者の誰も得をしない番組にもなりかねない企画ではないだろうか。