サムライ・ハイスクール第八話

日本テレビ系。土曜ドラマサムライ・ハイスクール」。第八話。
脚本:井上由美子。企画協力:山口雅俊。演出:狩山俊輔。
望月小太郎(三浦春馬)に逆恨みを抱く岩永(賀来賢人)は、彼を不幸に陥れるべく再び犯罪者に仕立て上げようとしたが、その策略それ自体が下手すれば政治家一族としての岩永家の側をも窮地に陥れかねないことを予感した岩永の父である岩永代議士(石黒賢)は、望月小太郎を確実に犯罪者に仕立て上げるべく大掛かりな策略を実行した。大きな騒ぎを誤魔化すためにはさらに大きな騒ぎを惹き起こさなければならない!というのが岩永代議士の方針のようだが、これは正義に反しているのみならず根本的な誤解を含んでいるように思われる。確かに、大きな騒ぎを誤魔化すためにはさらに大きな騒ぎを惹き起こすことが有効であり得るだろうが、それは別の騒ぎを惹き起こして人々の目を逸らさせるということではないだろうか。例えば、押尾学事件を誤魔化すために酒井法子事件をもっと大きな騒動に仕立て上げるという類だろう。望月小太郎に対する岩永の悪事を誤魔化そうとして小太郎の悪事なるものを捏造して、しかも小さな騒ぎをみすみす大きくしてしまって、それで真相が明らかになろうものなら、岩永家の痛手は凄まじいことになりはしないか。
そもそも岩永代議士側の主張には不自然な点が多過ぎる。「何者かに盗まれた岩永家伝来の刀剣は望月家にあるのではないのか?」という彼の疑いには何の根拠があるのかも不明であるし、「あるのならその刀剣を望月家から学校まで一人で携えて来い!」と要求するに至っては、国会議員が一国民に銃刀法違反の犯行を唆したに等しいではないか。
国学院高等学校長の亀井恭子(室井滋)が岩永代議士の陰謀を見抜いたのは、以上のような彼の不審な言動を見れば当然だ。むしろ、もっと早く気付いて然るべきだ。小太郎が刀剣を取って来ようとして学校を発つ前に、不審な点について指摘すべきだったろう。とはいえ、陰謀に気付いただけマシだと云えるかもしれない。他の教師連中に至っては何も考えず何も気付こうともしなかったからだ。
岩永は将来きっと押尾学みたいになるだろうが、それでも、逮捕されることもなく父親の地位を継承して平然と国会議員になるのかもしれない。