仮面ライダーW(ダブル)第二十六話

東映仮面ライダーW(ダブル)」。
第二十六話「Pの遊戯/亜樹子オン・ザ・ラン」。
脚本:長谷川圭一。監督:石田秀範。
今朝のこのドラマで私的に最も印象深かった瞬間は、街の公園で鳴海亜樹子(山本ひかる)が謎の人形「リコ」をベンチから叩き落したとき、それを見た左翔太郎(桐山漣)が「よいのかよ?」と呟いたところ。ハードボイルド探偵を標榜しながらも周囲からは何時も「ハーフボイルド」と揶揄されている彼が、街の涙や車の泣き声を感受することのできる直観と感情の男であることをここで想起しておくべきだろう。人形の声を聴くことができるのは実は翔太郎に他ならない。
そして、人形「リコ」を救出するため必死に走る亜樹子に、翔太郎は、亡き唯一無二の師、「おやっさん」鳴海壮吉の面影を見出していたろう。
他方、新たな武器の制作に成功したフィリップ(菅田将暉)はその性能の一端を披露するため、翔太郎の声で亜樹子の台詞を再現。
それにしても、これまでにも既に変態性を存分に露呈してきた「ダブリュウのメモリの持ち主」こと井坂深紅郎(檀臣幸)が今回ついに明らかにした破壊への欲求は、凄まじく恐ろしい。ドーパントへの変身を嫌ってきた園咲若菜(飛鳥凛)がドーパントへの変身能力によって呑み込まれてしまう恐れが見えてきたばかりか、若菜を支配するために井坂深紅郎を利用するつもりだった園咲冴子(生井亜実)までもがこの変態によって支配されないとも限らない。これは園咲家にとっては最も懸念されていたはずの危機ではないのか。この重大な局面に、園咲家の当主は何をしているのだろうか。江戸時代にでも飛んで賄賂でも受け取り百人一首大会でも開催しているのだろうか。