ヤンキー君とメガネちゃん第十話=最終回
TBS系。金曜ドラマ「ヤンキー君とメガネちゃん」第十話=最終回。
学園ドラマではあるが、味わいとしてはむしろ所謂ホームドラマに近いと云えるかもしれない。品川大地(成宮寛貴)や足立花(仲里依紗)の家族というものが、品川宙太(古田新太)や足立辰夫(伊東四朗)を中心にして大きな存在感を持って大きな役割を果たしたからだが、無論それだけではない。千葉星矢(小柳友)の家族にもなかなかの存在感があったし、彼や練馬青雲(鈴木亮平)が品川家で夕食や朝食を摂っていたり、姫路凛風(川口春奈)が足立家に居住していたりしたのは、それぞれの家族同然の関係をよく物語っている。和泉岳(本郷奏多)と品川大地との関係も、仲よくはないのに離れることができないでいる辺、まるで家族のようであるかもしれない。
そもそも、数々の事件の主な舞台となった紋白高等学校2年A組という場が既に一つの巨大な家庭のようなものであるのかもしれない。そのことをよく表しているのは、この学園ドラマに登場した教員が堺先生(皆川猿時)一人だけだったことだ。学園ドラマに不可欠の要素とも云える校長や教頭や(私立学校であれば)理事長の類が全く登場しなかった。堺先生にも家族があることは六月四日放送の第七話で描かれたが、その話が同時に描いたのは、堺先生にとっては自身の担任の学級も家族のようなものであり、教え子も子のようなものであるということだった。学園ドラマにおける学校幹部は政治権力の象徴であり学校外の社会の秩序の代表であるだろうが、そうした要素は多分ホームドラマには必要ではない。
それにしても、品川大地が眼鏡を外して三つ編みの髪型を解いた足立花の姿を、かつて入学試験会場で一目惚れをした片想いの相手としては認識できても、足立花その人としては認識できていなかったのは、第七話における衝撃の「再会」における認識の擦れ違いの事件の延長上の事件として面白かっただけではなく、他の誰もが当たり前のように足立花として認識できていたこととの対比でも面白かったが、この奇妙で派手な擦れ違いの発覚が、品川大地に密かに片想いを抱く姫路凛風を励起させる上に効果があった点でも興味深かった。松山啓介(中村倫也)と柳川徹(間宮祥太朗)の二人組は、品川大地と完全に仲よくなったような気がして調子に乗ったのか、柄にもなく品川大地みたいな恰好と口調で品川大地に話しかけたが、品川大地は相変わらず怖い奴のままだったので怯えていた。